タックス・リターンについて確認しよう 2021/2022年度版(後編)

最後は、タックス・リターンについて特に注意したい点などについて確認していきましょう。
by NY-http://nyphotographic.com/ (2015) / CC BY-SA 3.0

 

ワーキングホリデーの方

日本を含む、オーストラリアと租税条約を結んでいる国(a non-discrimination article (NDA) country)から来たワーキングホリデーメーカーについては、「税法上の居住者」要件を満たす場合は、「居住者」の税率が適用されますが、ほとんどの方は「税法上の居住者」には該当しません。「税法上の居住者」に該当する場合も、「ワーキングホリデー」の税率で源泉徴収され、タックス・リターンを行って税率を調整します。

※税率は中編参照

※「居住者」に該当するか否かの判断についてはこちらのブログをご参照ください。「ワーキングホリデーのタックス・リターン】税法上の居住者とは誰?

「雇用主がワーキングホリデーにかかる登録をしていなかったため非居住者の税率で源泉徴収されている」「給与収入以外の収入がある」「年収がA$45,001を超えている」など特別な場合を除いてタックス・リターンもNon-Lodgement Adviceも提出不要です。

「雇用主がワーキングホリデーにかかる登録をしていなかったため非居住者の税率で源泉徴収されている」場合などは、タックス・リターンを行ってワーキングホリデーの税率に調整することが可能です。

参考:ATOウェブサイト「Taxation of Australian resident WHMs from NDA countries」「Australian resident for tax purposes

 

6・7月に帰国する/した方

【6月中に仕事を辞めたがお給料を7月に入ってから受領した場合】
翌年もタックス・リターンが必要。タックス・リターンの計算が働いた期間ではなく、給与の支払いベースで行われるため

例えば、2022年6月25日に退職⇒2022年7月5日に最後の給与を受領した場合、2021/2022年度のタックス・リターンと2022/2023年度のタックス・リターンの両方が必要になります。

【労働可能なビザでオーストラリアに滞在し7月に出国する場合】
7月に受け取った給与がなくても翌年Non-lodgement adviceの提出要(もしくは前年度のタックス・リターン/Non-lodgement adviceにて翌年以降タックス・リターン不要に✓する)。「就労可能な状態でオーストラリアにいた」というのがポイント

例えば、学生ビザ保有者が2022年6月20日に退職し、2022年6月30日に最後の給与を受領、2022年7月15日に出国した場合、2021/2022年度のタックス・リターンと2022/2023年度のNon-lodgement adviceの提出が必要になります。

近年、ATO(Austrslian Taxation Office: 国税局)は移民局が管理するビザや出入国のデータとマッチングし、タックス・リターン等の監視を強化しています。

※ワーキングホリデーメーカーは、一定の条件を満たすと、Tax Return及びNon-Lodgement-Adviceの提出は不要となっています。

帰国したら終わりではなく、必要な公的手続きをすべて終わらせるまでが留学やワーキングホリデーだと思って、「いつの」「どの」手続きが必要なのかしっかり確認して忘れずに手続きしましょう。

 

MyGovの設定方法

myGovを利用して、Income Statementの確認、タックス・リターンやNon-lodgement adviceの提出などを行う場合、myGov登録及びATO(Australian Taxation Office:国税局)との紐付けが必要です。myGovとは、オーストラリアの公的サービスのプラットフォームで、登録することで様々な公的サービスを一括して管理することができます。

myGovの登録の仕方:わかりやすい説明(英語)
myGovにATOをリンクする方法(英語)(動画は1:40あたりから)

*注意!:オーストラリア国外にいてSMSの利用ができない方は、MyGov登録の際 Enter your mobileはSkip this stepをクリックしてください。
*注意!:初めてタックス・リターンをする方は、myGovをATOにリンクする際「Specific questions to you 」は使えません。必ず「Use linking code」を選択し、ATO(オーストラリア国内からは13 28 61)に電話してlinking codeを確認して手続きを進めてください(動画の2:00あたり)。

 

オーストラリア国外からタックス・リターンをする

すでに日本へ帰国した方や交換留学などで第3国に滞在中の方も、オーストラリア国外からタックス・リターンをすることができ、主に自分でオンラインで申告する or 登録税理士 (Tax Agent)に依頼する の2つの方法があります。

詳しくは、ブログ「オーストラリア国外からタックス・リターンをする」を参考にしてみてください。

 

オーストラリアの通訳サービス(公的機関)

ATOを含むオーストラリアの公的機関への問い合わせの際、英語に不安のある方は、通訳サービス(TIS National Services)を利用することができます。下記へ電話すると、日本語通訳者と問い合わせ機関の担当者との3者通話になります。日本語通訳者につないでもらうまでの流れは、ブログ「対応してくれたのはAIだった!」でご紹介しています。

オーストラリア国内から:13 14 50
オーストラリア国外から:+61 3 9268 8332

※この情報は2022年7月28日現在のものです。(2023年8月3日ワーキングホリデーに関する記述修正)
こちらのページも参考にしてみてください。
※オーストラリア留学センターではタックス・リターンのお手伝いはしておりません。オンライン申請の仕方などについても回答致しかねます。ご不明な点は、ATOもしくは登録税理士へご相談ください。

天ヶ瀬 有美 / Yumi Amagase

会計業務などを担当しています。

日本の大学で経済学部を卒業後、金融関係の会社での勤務を経て、2012年にワーキングホリデーで渡豪。「1年しかないなら、やりたいことは全部やる!」を目標に、大自然の中でのローカルの仕事などを経験。翌年、就職活動で英語力を証明するためのIELTSを学びに語学学校へ入学し、卒業時にIELTS6.5を取得。もっと学びたいと、サザンクロス大学会計学修士課程(Master of Professional Accounting)へ進学。2015年11月に同大学を卒業し、現職。

趣味は旅行、散歩、カフェ巡り。これまでに20カ国を訪問。オーストラリアでもたくさんの都市に出かけました。オーストラリアで出会ったコーヒーも大好きです。