タックス・リターンについて確認しよう 2021/2022年度版(中編)

前回に引き続き、タックス・リターンについて確認していきましょう。
by NY-http://nyphotographic.com/ (2015) / CC BY-SA 3.0

税率 FY2021-2022

Taxable Income
(所得)
Resident tax rates
(居住者の税率)
Foreign resident tax rates
(非居住者の税率)
Working holiday maker tax rates
(ワーキングホリデーメーカーの税率)*1
0 - A$18,200 非課税 32.5% 15%
A$18,201-45,000 A$18,200を超える金額に対して19% 32.5% 15%
A$45,001-120,000 A$5,902 + A$45,000を超える金額に対して32.5% 32.5% A$6,750 + A$45,000を超える金額に対して32.5%
A$120,001-180,000 A$29,467 + A$120,000を超える金額に対して37% A$39,000 + A$120,000を超える金額に対して37% A$31,125 + A$120,000を超える金額に対して37%
A$180,001 and over A$51,667 + A$180,000を超える金額に対して45% A$61,200 + A$180,000を超える金額に対して45% A$53,325 + A$180,000を超える金額に対して45%
*1: 日本国籍の方で、税法上の居住者に該当する方は、居住者の税率が適用されます。ただし、源泉徴収は「ワーキングホリデーメーカー」の税率で行われ、タックス・リターンを行って「居住者」の税率へ調整します。「居住者」に該当するか否かの判断についてはこちらのブログをご参照ください。「ワーキングホリデーのタックス・リターン】税法上の居住者とは誰?

参考:ATOウェブサイト「Individual income tax rates」「Working holiday makers」「Taxation of Australian resident WHMs from NDA countries

 

準備するもの

  • Income Statement(Pay Slipではありません。7月31日までに各雇用主が登録することになっています。すでにmyGovに登録し、ATOとの紐付けが完了している方は、雇用主側の手続きが完了次第、”New myGov inbox message”というメールが送られてきます。受領したら、myGovにログインしてメッセージ及びIncome Statementを確認しましょう。登録税理士を通してタックス・リターンをする場合、登録税理士は専用のオンラインサービスから顧客の情報にアクセスすることができるため個人での確認は不要です。)※MyGovの設定方法は後編参照
  • Tax File Number
  • 仕事に関連した経費領収証(差し引くことができる経費は業種毎に細かく決まっています)
  • 銀行利息などその他の収入に関する書類
  • 銀行口座詳細
*学生ビザ・ワーキングホリデービザで「居住者」扱いとなる方は、Medicare Entitlement Statementの提出も必要です。

 

手続手段

方法 こんな人にオススメ メリット デメリット
登録税理士に依頼する
  • すでに帰国、または近々帰国予定である
  • 給与収入以外の収入がある
  • Deductable Expense(収入から差し引くことが認められた支出がある)
  • 英語に自信がない
  • ABNを取得しシェアリングサービスなどに従事した
  • 通常の申告期限を過ぎている
  • 日本人税理士に依頼する場合は日本語での対応が可能
  • 申告に問題があった場合の対応がスムーズ
  • 申告期限が長い
  • 会計年度中でも申告可(オーストラリアを出国し、今後国内での収入がない場合)
  • 手数料がかかる(A$80-150程度)
オンラインで自分で申告する
  • 収入が給与・銀行利息のみである
  • 特に複雑な要因がない
  • 自分で対応できる&専門用語を理解する英語力がある
  • 手数料がかからない
  • 申告に問題があったが場合、自分で対応しなければならない
  • 英語での理解力が必要
※MyGovの設定方法は後編参照

 

トラブルを避けるために

  • 確定申告の書類は最低4年間保管!: 個人のタックス・リターンに問題があった場合、ATOは2~4年間過去に遡って修正や是正勧告を行うことができます。この書類を受け取った人の多くが、申告後1,2年ほど経ってから送られてきたと言っていました。タックス・リターンの控え、申告に使用した書類は最低4年間は保管しておきましょう。
  • 住所変更は確実に! : 日本に帰国した後も、該当のタックス・リターンについては責任を負います。ATOに対する住所変更は確実に行っておきましょう。
  • 英語対応に自信がない人は、登録税理士に依頼する!:是正勧告の内容を確認したり、異議を申し立てたりは英語での対応となります。英語での対応に自信のない人は、登録税理士に確定申告を依頼すると、是正勧告に関する対応もしてもらえる場合が多いので安心です(サービス内容については各登録税理士にご確認ください)。
※この情報は2022年7月27日現在のものです。(2023年8月3日ワーキングホリデーに関する記述修正)
こちらのページも参考にしてみてください。
※オーストラリア留学センターではタックス・リターンのお手伝いはしておりません。オンライン申請の仕方などについても回答致しかねます。ご不明な点は、ATOもしくは登録税理士へご相談ください。

天ヶ瀬 有美 / Yumi Amagase

会計業務などを担当しています。

日本の大学で経済学部を卒業後、金融関係の会社での勤務を経て、2012年にワーキングホリデーで渡豪。「1年しかないなら、やりたいことは全部やる!」を目標に、大自然の中でのローカルの仕事などを経験。翌年、就職活動で英語力を証明するためのIELTSを学びに語学学校へ入学し、卒業時にIELTS6.5を取得。もっと学びたいと、サザンクロス大学会計学修士課程(Master of Professional Accounting)へ進学。2015年11月に同大学を卒業し、現職。

趣味は旅行、散歩、カフェ巡り。これまでに20カ国を訪問。オーストラリアでもたくさんの都市に出かけました。オーストラリアで出会ったコーヒーも大好きです。