一方で、2021年11月3日、日本を含む租税条約を結んでいる国(a non-discrimination article (NDA) country)から来たワーキングホリデーメーカーについては、”税法上の居住者”要件を満たす場合は、”居住者”の税率を使用するという司法判断が出されました。この結果、ワーキングホリデーメーカーの源泉徴収は”ワーキングホリデー”の税率で行われますが、Tax Returnの際に”居住者”の税率へ調整することができるようになりました。
参考:ATOウェブサイト「Taxation of Australian resident WHMs from NDA countries」
下記の表の通り、税率は”ワーキングホリデー”よりも”居住者”の方が低いです。そこで気になるのは、「自分は”税法上の居住者”に該当するワーキングホリデーメーカーなのか」ということですよね。
FY2022-23の所得税率表
Taxable Income (所得) |
Resident tax rates (居住者の税率) |
Foreign resident tax rates (非居住者の税率) |
Working holiday maker tax rates (ワーキングホリデーの税率) |
---|---|---|---|
0 - $18,200 | 非課税 | 32.5% | 15% |
$18,201 - $45,000 | $18,200を超える金額に対して19% | 32.5% | 15% |
$45,001 - $120,000 | $5,902 + $45,000を超える金額に対して32.5% | 32.5% | $6,750 + $45,000を超える金額に対して32.5% |
$120,001 - $180,000 | $29,467 + $120,000を超える金額に対して37% | $39,000 + $120,000を超える金額に対して37% | $31,125 + $120,000を超える金額に対して37% |
$180,001 and over | $51,667 + $180,000を超える金額に対して45% | $61,200 + $180,000を超える金額に対して45% | $53,325 + $180,000を超える金額に対して45% |
結論から言うと、ほとんどのワーキングホリデーメーカーは”税法上の居住者”には該当しません。
一般的にオーストラリアの”税法上の居住者”かどうかはresidies test, Domicile test, 183-day test, the Commonwealth Superannuation testという4つの基準で判断されます。以前は、183-day testから、「オーストラリアの会計年度内に6ヶ月間同じ場所に居住していた」というのが判断基準として広く知られていました。しかし、2023年6月27日にATO (Australia Taxation Office: オーストラリア国税局)より、resides testの『意志・目的』を重視した下記の判断が出されました。- ワーキングホリデービザでの労働はあくまでホリデーをサポートするためのものであり、主目的はホリデーである。つまり、生活のベースは母国にあり、オーストラリアに居住する目的ではないため、”税法上の居住者”にはあたらない。
- 配偶者ビザや就労ビザのパスウエイとしてワーキングホリデービザを利用する場合は、オーストラリアに居住する意志が認められることから、”税法上の居住者”として扱う。
タックス・リターンや修正申告で”税法上の居住者”であると申告しても、自動的に受理されるわけではなく、ATOの精査にて認められない場合は、”ワーキング・ホリデー”の税率に戻され、追加の税金を支払うことになります。また、該当する場合にも、配偶やビザや就労ビザなど申請中であることの証明を求められる可能性もあります。
「”税法上の居住者”に該当するワーキングホリデーメーカーなのか」ATOのウェブサイトを参考に判断してタックス・リターンを行うようにしてくださいね。また、自分では判断できない方は、ATOまたは登録税理士等にご相談ください。
※この情報は2023年8月2日現在のものです。
※オーストラリア留学センターではタックス・リターン及び修正申告のお手伝いはしておりません。オンライン申請の仕方などについても回答致しかねます。ご不明な点は、ATOもしくは登録税理士へご相談ください。