ワインを楽しむためにクナワラへ[前編]

久々のワインブログですが、先日、念願叶ってクナワラを訪れることができました。

過去のシリーズはこちら↓
ワインを楽しむためにアデレードヒルズへ
ワインを楽しむためにバロッサ・バレーへ [前編]
ワインを楽しむためにバロッサ・バレーへ [後編]
ワインを楽しむためにマクラーレン・ベールへ[前編]
ワインを楽しむためにマクラーレン・ベールへ[後編]
ワインを楽しむためにクレアバレーへ
ワインを楽しむためにマクラーレン・ベールへ(2015年)


クナワラと言えば、オーストラリアにおいて最も素晴らしい「カベルネソービニョン」を産出する地域の一つとして有名です。

アデレードにきて早4年。いつかは行かなきゃ!と思っていた赤ワインの聖地「クナワラ/Coonawarra」なので、今回は2泊の贅沢な行程で行ってきました。

クナワラはアデレードシティから約4時間(アデレードの南東380km)ほどのドライブです。
ほぼメルボルンのあるVIC州との州境!!(ちなみにメルボルンからは内陸ルートで5時間ほどのようです)





オーストラリアでもっとも素晴らしいカベルネの生産地!と言っても、実はブドウ畑の面積はそんなに大きくないんだそうです。今回訪問して分かりましたが、ブドウ畑は、リドックハイウェイ(Riddoch Highway)沿の南北に細長い20km に渡っていて(今は拡充されはしましたが、それでも)南オーストラリア州にあるワイナリー地域だと、マクラーレンベールとほぼ同じ、バロッサバレーの約3分の2程度の大きさだそうです。

いくつかのワイナリーで聞いたところ、約90のブドウ栽培農家、セラードアは約25軒、常時オープンしているのは15〜20軒ほど(季節にもより)とのことでした。
(確かに、ワイナリーで受け取った Wine Trail ガイドブックに掲載されているセラードアはそのくらいの数でした。)

ちなみにカベルネ・ソーヴィニヨンは、フランスのボルドー(聞いたことある人も多いはず)でもっとも生産されるブドウ品種です。(ボルドーだとカベルネ・ソーヴィニヨンとメルローのブレンドが主ではありますが・・)

クナワラ/Coonawarraが赤ワインで有名な理由

ワイン産地としてのクナワラをもっとも有名にしたものは「特徴的な土壌およびブドウ栽培に適した気候」なんですが、ワイン好きなら一度は、「テラロッサ」 と言う単語を耳にしたことがあるはず。

テラロッサとはイタリア語で「赤い土」を意味していますが、この赤土は粘土質の酸化作用によって形成され、表層が赤土でその下は石灰石層になっている土壌をテラロッサと呼んでいます。この土壌構造は、水はけが良い一方で、保水力も高く、根の浸透性も高いという特徴を持っているので、テラロッサ土壌は、ブドウ栽培に必要な 十分な水分保持機能と排水性を兼ね備えた肥沃な土壌=良いぶどうが栽培される!ということですね。

(赤い!)

それゆえ、限られた地域(そんな土壌はあまりない)で、少数ロット、単一畑による長期熟成型のプレミアムワインになる可能性のブドウ品種カベルネ・ソーヴィニヨン、となっているわけですね。

と言った一通りの予備知識を得たところで、訪問してきたいくつかのワイナリーをご紹介します。

その1 Wynns Coonawarra Estate
クナワラに本拠地をおく カベルネ・ソーヴィニヨン を代表するワイナリーと言えば?の Wynns Coonawarra Estate です。オーストラリア全土の酒屋さんで買えると思いますが、オーストラリアに来たばかりの頃(2000年代!)、よくWynnsのワインを買ってました。同時期の我が家の中では、バロッサバレーの Peter Lehmann 、マクラーレンベール のRose Mount estateと同じくらい思い出深いワインです。

(セラードアの建物)
(ボトルのエチケットラベルがセラードアの建物になっているこんなボトル見たことないですか?)

セラードア内は洗練されていて綺麗の一言!

ワイナリーの歴史はもちろん、クナワラの歴史や土壌の解説なども展示もあります。
(テラロッサ!上が赤土層、下が石灰石層)

ちょっとした歴史館的な感じもありますので、もしクナワラに訪れる際には、1番最初に行って欲しいところです。

この Wynns Coonawarra Estate を代表するワイン(フラッグシップ)が、John Riddoch(ジョン・リドック)と言うボトルですが、ワイナリーの創設者の名前かな?と思いがちですが違います。このジョンさんは、クナワラにはじめてブドウの樹を持ち込んだ人なんですね。今では、クナワラのメイン通りは、Riddoch HWY(リドック・ハイウェイ)と呼ばれるほどの知名人です。

(写真の左がJohn Riddochのボトル、残念ながら試飲はできません!)

手軽に美味しいカベルネを!と思ったら Wynns で外すことはないと思います。酒屋さんで気軽に買える値段のボトルもありますので気になる方は是非。


その2 Katnook Estate
こちらも比較的、有名なワイナリーで、我が家での登場機会は多かった思い出深いワインなので、Wynnsと共にやっと来れた感!がありとても感激でした。

(セラードアはこじんまりした一軒家風。大きなワイナリーですが、とてもアットホーム)

(こちらでもテラロッサの説明!訪問者向けにセラードアの横を実際に掘ってますww)


セラードアを後にして、宿泊先に戻った際の後日談ですが、宿泊先のオーナーとどこのワイナリーに行ったのか?の話をした際に Katnook Estateのシニアワインメーカーさんが、心臓発作で数日前に急逝されたことを聞きました。葬儀は次の週末で各ワイナリーからもスタッフが集まって行われる予定だとか・・・今回、Katnookのセラードアを初めて訪問しましたが、この事実にとてもショックでした(もっと買えば良かったなー)。シニアワインメーカーがワインの製造管理しているはずなので、Katnook のワインの今後が少し心配になったけど・・これだけ有名なワイナリーですから、自分ごときの心配は杞憂でしょう!ご冥福をお祈りします。

と言うわけで移動日は、4時間のドライブ+クナワラから片道1時間(往復2時間)かけて、Mt.Ganbierにも足を伸ばしたので(こちらは別の機会でご紹介します)、初日は2軒のみで宿泊先へ。
ちなみに今回の宿泊は、ブドウ畑の横でテント泊できるプランを選択しました。

こちらのテントは、ベルテントと呼ばれるテントでして(Grampingによく使われるテント!)、備え付けのテントを事前に予約しておく形です。
テントの中にベッド(キングベッドX1、シングルX2)、寝具(シーツ、枕、布団)、ポット、水、食器、アウトドアテーブルと椅子、ファイヤーピット(焚き火用)などが一揃えになっていて、キッチン、トイレ、シャワーは同じ敷地内の別棟で借りれると言うプチ・グランピングです。電気もテント内に備わっていて、なんと屋外 Wifiが無料で付いています。
(テント内はこんな感じ)

さぞゴージャスな料金かと思われた方、安心してください。
宿泊代金は平日 1泊75ドル!(4人まで泊まれる)ので、割り勘にしたら学生同士でもいける金額ですよね。ワイナリーに来たんですから、あえてホテルやバックパッカーズ以外の選択も面白いと思います!

天気がよければ夜にはこんな星空も見れますよ!


長くなったので【後編に続きます】!

齋藤 新 / Arata Saito

オーストラリア、アデレード在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I009)。1999年、経済連を退社し、ニュージーランドに留学→2000年、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。現地の旅行会社勤務などを経て、2002年より現職。クイーンズランド州、ニューサウスウェルズ州、南オーストラリア州の主要都市を移り住み、現在に至る。語学留学、TAFE専門、大学・大学院留学への留学相談、アデレードオフィスでのサポートと様々な形で留学生と接する日々。このカウンセラーに質問する