タックスリターンの「リターン」は「返す」じゃない!

タックスリターン(Tax Return)とは日本でいうところの所得税の確定申告です。タックスリターンの「リターン」は「申告する」という意味で、「返す」という意味ではありません。

英語は日本語よりも圧倒的に語彙が少ないため、同じ単語で全く違う意味を持つものも多くあります。

例えば、あいさつでよく使う"I'm fine!"のfineは「健康な」という意味のほかに「繊細な」「罰金/罰金を課す」「高付加価値の」などの意味があります。

同様に、Returnには「返事を返す」という意味から派生して「報告する/申告する」という意味があります(ちなみに、お金を返すという場合はRefundを使います)。

つまり、タックスリターンしたら必ずお金が戻ってくるわけではなく、場合によっては税金の追加支払が必要になります。
すでにオーストラリアで働いて給与明細を貰っている方はわかると思いますが、源泉徴収される金額は所得税率とは別に定められており、タックスリターン時の所得税率より若干高くなっています。その他の細かい説明は省きますが、多くの場合はタックスリターンでお金が戻ってくるため、「リターン=戻ってくる」と勘違いしている人も多いようです。
では、どのような場合にタックスリターンで税金の追加支払が必要になるのでしょうか。

<ケース1:ABNで働いていた>

ABNで働くとはどういうことかはこちらの記事を参考にしてみてください。ABNを取得して働く場合は”個人事業主”として働くわけですから、源泉徴収はありません。つまり、タックスリターンの際に税金をまとめて支払う必要があります。

<ケース2:Tax File Number Declaration Formが間違っていた>

Tax File Number Declaration Formとはアルバイトなどを始める場合に源泉徴収のために雇用主に提出する書類です。この書類の税法上の居住者区分が間違っていた場合など、適用する税率表の違いにより源泉徴収が少なく引かれるということもあります。つまり、タックスリターンで正しい金額に修正するので、追加で税金の支払いが生じる可能性があります。

<ケース3:仕事を掛け持ちした結果、合計所得額の税率枠が上がった>

タックスリターンの税率は合計所得額に応じて決まっています。仕事を掛け持ちしている場合、1つ1つの仕事では一番下の税率枠を超えていなくても合計すると一つ上の税率枠になることがあります。この場合、1つ1つの仕事の源泉徴収は下の税率枠で引かれているので、合計して再計算した場合には支払済の税金が足りていないことがあります。

上記は税金の追加支払が生じる可能性がある一部の事例です。納得がいかない場合などは登録税理士などの専門家へ相談されることをオススメします。

なお、タックスリターンの未申告、Tax File Number Declarationにおける虚偽の申告などはペナルティの対象をなりますので、期限内に正しく申告しましょう。

 

*このブログの情報は2019年2月6日現在のものです。
*タックスリターンについてはこちらも参考にしてみてください。
*弊社ではタックスリターンについてアドバイスすることはできかねます。必要な方は登録税理士などへご相談ください。

天ヶ瀬 有美 / Yumi Amagase

会計業務などを担当しています。

日本の大学で経済学部を卒業後、金融関係の会社での勤務を経て、2012年にワーキングホリデーで渡豪。「1年しかないなら、やりたいことは全部やる!」を目標に、大自然の中でのローカルの仕事などを経験。翌年、就職活動で英語力を証明するためのIELTSを学びに語学学校へ入学し、卒業時にIELTS6.5を取得。もっと学びたいと、サザンクロス大学会計学修士課程(Master of Professional Accounting)へ進学。2015年11月に同大学を卒業し、現職。

趣味は旅行、散歩、カフェ巡り。これまでに23カ国を訪問。オーストラリアでもたくさんの都市に出かけました。オーストラリアで出会ったコーヒーも大好きです。