警察沙汰になりました


今週の土曜日のお話です。午前中に買い物をチャチャっと済ませ、「午後はピクニックでもするかな〜」と、ベランダから外を見ていると、なんだか怪しい男2人組が見えます。

1人は赤っぽいランニングに、グレーっぽいスウェットパンツ。さらになぜそれを選んだのかと聞きたくなる、”緑色のバイキングデザインのニット帽”を持っています。その緑色のニット帽に手を入れ、なにかごそごそしている様子。もう1人は、上下黒のスウェットに、片足だけまくっており、白いタオルをクビにかけ、髭面っぽい&サンダル姿の男。

正真正銘の「怪しく、汚らしい男性2人組」です。この2人が周囲を気にしながら何かコソコソ話をしているのです。

すると、まわりの歩行者が少なくなったタイミングで、ランニングの男が道を渡り、ある家の前まで来ました。そこは、ベランダ側の玄関で、いわゆる裏手の入り口ですが、そこに立ったまま家には入りません。それどころか、しきりに背後を気にしています。

その背後には、もう一人の黒いスウェットの男。この男もまわりを気にしている様子。そして、人気がいなくなったタイミングで男が手を上げると、ランニング男が、ドアを開けず、壁をよじ登りベランダに入りこんだのです!

そして、ランニングの男が、道を挟んで向こう側で待つ黒いスウェット男に合図をおくると、この黒い男は走っていなくなり、そのまま戻ってきませんでした・・・・

「あ!!空き巣だ!!」

その男が忍び込んだ家は、自分のベランダから真下に見える場所にあり、1階の住人です。それから5分ほど気にしながら見てましたが、誰も出てきません。現行犯で空き巣を見たことがないので、こういう時の対処方法がよくわかりませんが、こうしている間にも、部屋が荒らされている可能性があります。

どうしようかと思い、妻に一部始終を話すと「これは警察に電話ね!」と即答。携帯電話を取り出したと思ったら、即コール!警察に現在の状況を伝え、この建物の管理人らしき人と、3者通話を始めました。

自分は引き続き犯人を逃さぬものかと、スマホで入口付近へピントを合わせます。もし人ができたら「HEY!」と叫ぶ→犯人がこちらを見る→パシャリという作戦です。なので、望遠状態で手がブレないよう、脇をきっちり閉めて狙いを定めます。

すると、電話ごしに警察から幾つか質問があったようです。

妻「部屋に入った人の服の色は?」
自分「ワインレッドみたいな色で、Tシャツっぽいやつ」
妻「ワインレッドなんて外来語でしょ、通じないよ。エンジ色ってこと?」
自分「そう、それ」
妻「身長はどれくらい?」
自分「いや、真上だからわからないけど、俺より低い」
妻「そりゃそうでしょ」
自分「だよね」
妻「髪の色は?」
自分「ニット帽を被ってたからわからないよ」
妻「肌の色くらいはわかるでしょ?」
自分「白人でもないけど、黒人でもないような。。ちょっと浅黒いというか」
妻「褐色ってこと?」
自分「それそれ」

髪の色を聞いてきたあたりで、洞察力のなさに嫌気がさしたのか、舌打ちと溜息混じりに質問されましたが、そんなことは気にせず、引き続きスマホのピントをロックオン中です。

かれこれ、男が忍び込んでから、15分ほど経過したでしょうか。まだ男は出てきません。ここで「すでに正面玄関から逃げ出しているかも」と考え始めました。あえて正面玄関からでたほうが、逆に堂々として住人には気が付かれない可能性はあります。

ですが、このまま何時間も、上から監視続けることはできませんし、とりあえず妻も電話を終えたようです。警察も状況を再度確認するとのことで、我が家で出来ることは終了です。

「早く犯人が捕まるといいなー」と思いつつ、ピクニックをするために、公園に向かうことにしました。

すると、エレベーターで降り、公園まで歩こうとしていると、向こうからパトカーがやって来ました!流石です、クイーンズランド警察。ちゃんとパトロールしに来てくれたのです。

警官が2人、車から出てきたので「先程、電話したものです」と話しかけ、再度状況を伝えます。流石に我が家のメンバーだけだと怖いので、警察についていく形で、問題の家の前にいくと、ベランダ側の窓が、半開きの状態で空いていました。

以前、現地警察の防犯セミナーに参加した際「空き巣は、本当に大胆かつ一瞬で物を盗んでいく。他の住人に迷惑をかけないためにも、部屋のドアを開けっ放しにしたり、見えるところに、金目の物は置かないように。また、たまたま空き巣や強盗に出会ってしまったら、相手が何をするかわからないから、大きな声を出して、自分自身もすぐに逃げるように」という話を思い出しました。

やはりこういう家は、狙われます。泥棒はスキがある家を狙うんですよね。

警察がチャイムを鳴らすと、住人が出てきました。どうやら入れ違いで戻ってきたのか、怪我などはしていないようです。というか、あれ?なんか見覚えのある、エンジ色のランニング…。

警察から、なぜここに来ているかの理由を、その住人に伝えると、

「あ、それは自分。正面玄関の鍵を忘れたから、ベランダから入ったよ。ベランダの鍵は空いてたから大丈夫だったよ。ハハハ」とのこと・・・・。

そうです。散々「汚らしい格好」としていた人は、単に正面玄関の鍵をインロックした、同じ建物の住人でした。そして、泥棒だと勘違いされないように、友達に見ていてもらったようです。

「というか、ハハハじゃないし!俺は上空から20分近く監視してたんだ。そもそも、大越が書いた記事を見てないのか!!そういう時は、ロックスミスだろ!」なんてことは伝わるわけはなく、警察には「Sorry..」とだけ伝え、しょぼしょぼ、その場を後にしたのです。

その後のピクニックは、家族団欒という名のもと、気まずい雰囲気だったことは言うまでもありません。「いやー、ホント事件じゃなくて良かったよね。安全って大事」と言っても、返事がありません。我が屋の犬だけは、その状況が飲み込めてないらしく、自分に甘えてきます。やっぱり、犬はいいなー。

来週こそは、「気まずくない、ピクニック」をしたいと思う、そんな土曜日でした。

林 真生 / Hayashi Masuyo

オーストラリア、ブリスベン在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I008)。日本では販売業、IT関連業に携わり、海外といえば旅行でヨーロッパやアメリカを訪れる程度。そんな中、友人のススメもあり、2002年ワーキングホリデーでゴールドコーストへ。右も左もわからない中、留学代理店(現職)のWEBサイト制作をする機会に恵まれ、1年間夢中で専門知識を身につける。その後、勤務先のサポートを得て2006年に永住権を取得。2年後、新オフィス開設に伴いメルボルンに転勤、約7年間をメルボルンで過ごす。しかし、QLD州の暖かさが忘れられず(?)、 2015年7月にQLD州に戻り、現在ブリスベンオフィスの留学カウンセラーとして、全力で留学生のサポートを行っています。このカウンセラーに質問する