地産地消と遺伝子組み替え作物

アデレードのスーパーやマーケットで、よく見かける広告、商品の値札、商品説明に下記のようなのがあります。

I CHOOSE SA

これは、SA州内で生産された生鮮食品、加工食品やその他様々な商品をPRするためのキャッチコピーなんです。SA州産の商品を購入することにより、地元の産業を守る、雇用の機会を増やす、など「地産地消」の推進、そして消費者への認知度を高めたいと言うことなんですね。アデレードには地元愛が強い人が多いですし、非常にわかりやすい。

さらにいうと、南オーストラリア州は GMO フリーであったということ。 *GMOとは、Genetically Modified Organism(遺伝子組換え作物) のこと。 GMOと言えば旧モンサント(現バイエル)ですが、本ブログではその是非を問うものではないのでツッコミは勘弁してください。

ところで、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア州、クイーンズランド州、西オーストラリア州、NT準州では、遺伝子組み替え作物を栽培していると知ってました?

オーストラリアでは、2020年まで タスマニア州、南オーストラリア州の2州だけが、遺伝子組換え作物の栽培を禁止していました。 そうなんです、、、ついに 2020年、南オーストラリア州は、16年間続いたGMOフリーを放棄することを決定し、遺伝子組み換え作物(菜種)の栽培を認めてしまいました。 南オーストラリア州の規制は、Genetically Modified Crops Management Act 2004 に基づきます。

本来、南オーストラリア州は、2017年の段階で、GMOフリーは2025年まで続ける方針だったのが、2004年からの GMO規制で GMO栽培した場合と比べ 33億ドル余りの損失があり、2025年まで続けたら、その差が500億ドルの損失になると言う予測報告書が昨年に審議され、経済効率を求め GMO栽培(菜種)を率先したい農家の意見を採用した(圧力に屈した?)形です。
(一般市民からの意見は、圧倒的に規制へ延長賛成だったというのですが・・)

SA lifts ban on GM crops after 16 years

2020年4月に発表後、GMOフリー継続を希望するSA州内の農業自治体は、半年以内に諮問委員会に申請すれば、GMOフリーを継続できるということなので、この点、選択肢があることは良かったなぁと思います。 

なお、GMOフリー界隈では超有名なカンガルー島の菜種油(ナタネ油)ですが、カンガルー島ではモラトリアムを維持し、今までも+これからも、カンガルー島の菜種油は、遺伝子組み換え作物は一切使用しないを貫くようです。
この辺、気になる人はぜひカンガルー島のキャノーラ油を1度お試しください。

日本だと生協宅配パルシステムの菜種油がカンガルー島産の100%非遺伝子組換えです。

今まで、SA州の地元農家が栽培したもので、有機栽培・オーガニックはあたり前ですが、その上で州政府が GMO規制をしていることを何となく知ってたので、躊躇なくSA州産(I CHOOSE SA)を手に取り、自身の選択できる範囲で ゆるく食の安全を享受していたのかな、、、と考えさせられました。

ちなみにオーストラリアのオーガニック認証はいくつかの査定団体がありますが、そのほとんどが 、殺虫剤の使用禁止、除草剤の使用禁止、遺伝子組み換え作物の使用禁止、成長促進剤またはホルモン剤の使用禁止、食肉・乳製品・卵の場合は、抗生剤や成長ホルモン剤を投与されていない動物由来であること、などが規定にありますが、農地の土壌からも検出されてはいけないことになっています。つまり、できた作物からだけじゃなく、土地、土壌も審査対象なのですね。 オーガニック農家にとって、隣の農地でGMO栽培され、土地や土壌から遺伝子組み換え作物の成分が検出されたら、それこそオーガニック農家としてやっていけなくなります。

大量生産・大量消費に疑問を感じ、Costco などでの買い物はしない (メンバーは7年前に退会)、必要な時に必要な分だけ買う消費スタイルになったのは7年前にアデレードに来てから。  それが、、これもなんとなくなんですが、この南オーストラリア州のGMOフリー放棄で、好きだった南オーストラリア州に対しての 何かわからない「モヤモヤ」が少し止まりませんでした (4月からブログに書こうかどうか迷っていたのです。笑)

ちなみに、オーストラリアで遺伝子組み替え作物は、菜種と綿花 なので、遺伝子組み替え作物の代表的な大豆やトウモロコシはオーストラリアでは栽培されていない(いや、クイーンズランド大学でトウモロコシ研究してるはず?)と言うことなので、一般的に言えば、ほとんどが 遺伝子組み換え作物ではない、とも言えるのかな。。。。

消費者の立場って勝手ですが、やっぱり南オーストラリアが好きなので、この選択が経済的利益に貢献することを願いつつ、そして「ちょっと(菜種)だけだから良いじゃん」が「小麦、大麦もやろうぜ」 みたいにならなきゃいいな〜と願いつつ、引き続き、地元企業に貢献していると信じて、買い物時には「I CHOOSE SA」の商品を今後も手に取ると思います。 地元企業、地元農家、地産地消で応援したいと思います (将来的に、I Choose SA の他に GMOフリーとかが併記されたら良いなぁー)

ちなみにレストランでは EAT LOCAL が目印ですよ。
アデレード市民は南オーストラリア州が大好き♡

齋藤 新 / Arata Saito

オーストラリア、アデレード在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I009)。1999年、経済連を退社し、ニュージーランドに留学→2000年、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。現地の旅行会社勤務などを経て、2002年より現職。クイーンズランド州、ニューサウスウェルズ州、南オーストラリア州の主要都市を移り住み、現在に至る。語学留学、TAFE専門、大学・大学院留学への留学相談、アデレードオフィスでのサポートと様々な形で留学生と接する日々。このカウンセラーに質問する