日本で公認会計士をしている友人から驚きのニュースを聞きました。 「2027年度の公認会計士試験から、英語が導入される」というのです。
調べてみると、短答式試験の3科目(財務会計論・管理会計論・監査論)において、1割程度が英語で出題される予定とのこと。導入の背景には、IFRS(国際財務報告基準)適用企業の増加や、グループ監査対応など、公認会計士の業務において英語との関わりが急速に拡大している現状があるようです。
「AI時代に英語は必要か?」という疑問への答え
「今はAI翻訳があるのに、今さら英語の試験が必要なの?」と感じる方もいるかもしれません。私自身も、難解な法律などを読む際はAIの翻訳力を借りることもありますが、重要なポイントを見つけたときは必ず「原文」に立ち返って確認するようにしています。なぜなら、AIの精度は各段に上がっていますが、完璧ではないからです。そして、最も大きな理由は、AIを使って得た情報を使うに当たっては、私たちに責任があるからです。つまり、「AIの回答が正しいのか」判断するだけの英語力は必要だということです。
また、先日のブログ『スイス・バーゼルで感じた英語と人とのつながり』でもお話ししましたが、ビジネスの場におけるスモールトークや、相手の目を見て自分の言葉で伝えることは、信頼関係を築く上で今でも非常に大切な要素だと感じています。
会計英語は「特殊なスキル」
公認会計士・監査審査会 (金融庁内に設置された公認会計士法に基づく審査機関)のウェブサイトにサンプル問題があるとのことだったので、日商簿記2級、オーストラリアの大学院を卒業して10年(!)とブランクがありますが、とりあえず、「管理会計論」にチャレンジしてみました。(大学院時代苦手だった&多分日本の『監査論』には触れたことがないので・・)知識的には「難易度自体は英語であることを考慮して控えめに設定している」というのが理解できる内容だと思いました。
解いてみて感じたのは、一般的な英検などと大きく違って、「文章がほぼ会計用語で埋め尽くされている」という点。つまり、単なる英語力ではなく、「会計に特化した英語」の習得がポイントになるのではないかと思いました。
留学で「会計×英語」を先取りする選択肢
公認会計士の勉強を本格的に始める前に、まずは英語で会計学に触れておくのは有効なステップだと思います。特に大学生の方であれば、休学留学を利用して以下のような挑戦をしてみてはいかがでしょうか?
- オーストラリアの大学で「Study Abroad(学部聴講)」:現地の学生と一緒に会計科目を履修する
- TAFE(職業訓練専門学校)のコース: 簿記や会計の実践的なスキルを英語で学ぶ
日本の公認会計士の短答式試験の合格基準は7割程度と言われています。現時点では英語の問題は1割ですから、簡単ではないと思いますが他で8割取れれば合格はできるのかもしれません。ただ、留学で得た知識や経験は、試験対策としてだけでなく、将来グローバルに活躍する公認会計士としての土台を作るためにもなります。今から「英語で会計を学ぶ」環境に身を置いてみることをぜひ検討してみませんか?