ワイナリーを楽しむための基礎知識

アデレードといえば!ワインです!
オーストラリア最大のワイン産地の南オーストラリア州ですが、一番近いワイナリーのセラードアにはアデレードシティから車で15分でいけます。(Penfolds Magill Estate)

郊外だと、Adelaide Hills は車で30分、McLaren Vale で45分、Barossa、Eden Valleyで1時間、Clare Valley で1時間30分ほど。常時オープンのセラードアで200以上!!
さすがに全部廻れないよねー、と思ってましたが、3年半かけて毎月のようにワイナリーに足を運ぶうちに、だいたいの有名どころには行ってしまいました。笑。

今でこそ勝手知った顔でワイナリーに出没していますが、初期の頃は、いろいろ失敗しました(マナー違反だったなーと思い出すことも・・)
そこで!ワイナリーに行きたいんですが、、、どうすれば良いの?とメッセージを頂くこともあるので、どうせテイスティングをするのなら、知らないよりは知っておいた方が良いマナー的なものをまとめてみました。

テイスティングの流れ

1・無料なの?有料なの? まずは・・
各ワイナリーにあるセラードア(Cellar Door)を見つけたら ハロー!と声かけて入りましょう!
テイスティングは無料のところもあれば、有料(5ドル〜10ドル)のところもあります。
「無料でテイスティング出来る?」 と聞くのは、失礼に当たる場合もあるので、尋ねる際は「テイスティングしたいんだけど、ここのシステムを教えてもらえますか?」と聞きましょう。
有料の場合も大抵は、テイスティング後にボトルを購入すると、テイスティング代金が差し引きされます。

2・スパークリングワイン→ 白ワイン → 赤ワイン → デザートワインの順番
そして実際にグラスを用意してもらい、ワインを注いでもらうのですが、ワインリストにテイスティングできるワインが沢山あった場合は何から頼めば良いのかわからないですよね。

セラードアスタッフから何から始める?と大抵聞かれるので、最初から始めたい場合は、リストの一番上(大抵はスパークリングか白の軽いもの)を指定しましょう。スパークリングワイン→ 白ワイン → 赤ワイン → デザートワインの順番で進められます。
もし、スパークリングも白も気分じゃないとか、好みの品種だけ絞りたい、赤だけで良い、とかなら、「赤ワインからスタートさせてください」と言いましょう。

もし、赤ワインを飲んだ後に、やっぱり白も、、となった場合・・・・赤ワインの重い品種を頼んだ後だと、白ワインの味がわかりずらいなどあります。スタッフもその点わかっているので、嫌な顔こそしませんが、グラスチェンジの後、口の中を水でゆすぐ、など指示されることがあります。これは、嫌がらせではなく、口の中をリフレッシュさせてから味わってほしいと言う意味合いなんですねー。
ただ、やっぱり順番は守って楽しんでもらう、のが1番スマートだと思います!

3・色をみましょう!
グラスを傾けて色を識別します。白、赤問わず、それぞれの品種で色の違いがあります。だんだん飲み比べてると、えー色はこんなに薄い赤なのに味は重いね〜なんて、そのうち言い出します(笑)
ちなみに良いスパークリングは泡がきめ細かいです。逆に炭酸飲料などのように大きな泡が出るのは、炭酸を後から足してるもの(その方がコストが安い)だったりします。

4・香りを確かめます。
ワインはグラスの温度などでも敏感に香りが変わりますので、基本的にはワイングラスの足を持ちます。ただ、ワイングラス自体が冷たい場合は、注がれてから手のひらでグラスを包み込んで若干温度をあげると香りたちます。手のひらで包む場合は、温度の上げすぎは注意しましょう。次のテイスティングが台無しになります。

5・味を確かめます
少量を口に含んで軽く息を吸って口の中で空気と混ぜると、鼻から香りが抜けていき、ワインの味をより楽しめます。
また、重い赤ワインの品種に多いですが、空気に触れると味わいが変わるワインも多いです。
グラスの中でワインをぐるぐる回して空気に触れさせると香りたち味わいも変化していきますが、焦ってグラスを空にしてしまうと一番美味しくなる瞬間を逃してしまう場合もありますから、スタッフと話しつつ、そのワインの味わいどころを聞くのもグッドです!
自分も過去に「もう空けちゃったの?」と再度注がれ、「あとちょっと待ってて」と言われたこともしばしば。笑。

6・感想を伝えましょう!
なかなかワインの味を感想で伝えるのは難しいのですが、実際には思ったことを素直に言えば大丈夫です!
疑問、質問、何気ない会話はテイスティングしながらです!

7・グラスの変更
ワイナリーによって様々ですが、基本的にスパークリング、白、赤、デザートワイン、と切り替わる際にグラスチェンジされます。中には、品種が変わるごとにグラスチェンジするセラードアもありますが、「えーもう終わり?」ってことじゃないので、スタッフが次に持って来るワイングラスを待ちましょう。

やりがちな間違い・・

・注がれる際はグラスは置きましょう!
日本風だとお酒を注がれるときには、グラスを持って注いでもらいますので、やりがちな間違いですが、ワイングラスは置くが基本です。日本式の手持ちは、カウンターの人にとっては注ぎづらいだけ!

・刺激物はX
テイスティング前に炭酸飲料(コーラとか)、香辛料(唐辛子系)、あとガムとかを飲食していると、味覚と嗅覚が麻痺しているので、楽しめなくなります。また、男女ともに香水を使用している人もいると思いますが、香水は控えめに!セラードアに入ったとたん、香水や化粧品の匂いがキツイと他のお客さんに白い目で見られますよ!

・飲み過ぎ注意
イェーイ!タダ酒!と飲み過ぎ注意です。
いろんなワイナリーのセラードアのスタッフから調査したアンケートだと、やはり1番困るの人は「味が分からなくなるまで飲んで酔っ払う人」だそうです。その他では「おかわりする人」「もっと多く注げと言う人」「サービスのクラッカーやチーズを沢山食べる人」なんて言うアンケートもあって笑ってしまいましたが、ぜひ気をつけてくださいね。

ありがちな質問・・

・ワインを表現する言葉
ワインを表現する言葉としては「甘味」「酸味」「渋味(タンニン)」「アルコール」「香り」で大体が表現されますが、あとは「ボディ」と言う表現もあり日本語だと「重い」「軽い」などの感じです。
「ボディ」とはワインのアルコール度数や果実味、タンニン、有機酸、糖分などのの割合によって変化する味わいのことですが、これらの成分が重く(強く)感じるのを「フルボディ」と呼ばれ、逆に軽い(弱い)と「ライトボディ」と呼ばれます。
スタッフから「このシラーズはフルボディで・・うんぬん」など聞けたら「重い赤だな」とわかる感じです。

ワイナリーのテイスティングでは、各それぞれのワインの紹介と一緒に、記号でそれぞれの成分が書かれてるテクニカルシートが見れますので、より詳しくなるとそれらを参考にするのも楽しいですよ。
例:Alc = アルコール度数、pH =酸度、RS=残糖度, その他だと ACIDITY(酸性度)とか、Aging/Maturation(熟成年数) などの数値もあります。

・ぶどうの品種
ワインが作られる際のぶどうの品種により、出来上がるワインも違ってきます。
オーストラリアで代表的な赤ワインだと、シラーズ、カベルネソービニヨン、ピノノワール、グルナッシュ、メルローあたりですが、それ以外にも、サンジョベーゼ、マタロー(ムールヴェードル)、テンプラリーニョなどあります。白ワインだとシャルドネ、ソービニヨンブラン、リースリング、セミヨン、ピノグリなどが代表的な品種です。それぞれ味わいが違うので、ぜひお気に入りの品種も見つけてください!

ちなみに下は Adelaide Hillsの Petaluma での写真ですがテイスティング中にぶどう(シラーズ)の質問をしてたら、偶然にもワインメーカーのうちの一人がセラードアにやってきて、さっき採ったばかりのシラーズだよ、と食べさせてくれました!
ワイン用のぶどうは渋くて食用には向かないと聞いたことがあったけど、このぶどうは皮や種には渋みが若干感じられるものの、ぶどう自体はとても甘い!まさに収穫前の一コマで、このぶどうたちが写真のワインとなっていくわけで感動!


・一口飲んであとは捨てて良いの?
テイスティングでは一口だけワインを口に含んで味わいや香りを楽しんだら、吐き出してもらって構いません。専用の壺(Wine Spittoonと言います)があります。
お酒に弱い人も普通に吐き出してもらって構わないんですよ。また、当たり前のことですが、ドライバーは飲んではいけませんから、ぜひ、壺を利用しましょう!
ただ、マナーとして「ドライバーだから」とか「お酒に弱いので」とか一言添えれればスマートです。

・テイスティング後にボトルは買わなくて良いの?
はい、買わなくても全然構いません!
ただ、有料のところは買わなくても全く罪悪感がありませんが、無料のテイスティングでは、何か買わないといけないのかなー?と言う気分になってしまいますよね。

自分の場合は、買うが前提で入るので、あまり気にしたことがないのですが、思った以上に高いワインのレンジが揃っているワイナリーだと、うーーん、これは買えないなーと言うこともあります。
「残念だけど予算にあわないので買えないけど、頑張って稼いだら買いに来るよ!」とか言ったこともありますが、何も言わずに帰るのが最も失礼なので、最後に Thank you を忘れずに!

最後に・・

ここで書かれていることは必ず守らなければならない!と言うことではありませんが、ある程度はマナーを守りつつも、好きなように楽しんでもらえるのが 1番 です!
自分が思うワイナリー巡りは新しい発見があること、美味しいワイン、そして素晴らしい景色を見ることができるのがワイナリー巡りで楽しいことだと思っています。

ワイナリー巡りでテイスティングすると、今までワインにあまり興味がなかった人も、へーそうなんだー、あれなんかワインって楽しいぞ、となる良い機会なので、ぜひある程度のマナーは守りつつ、ワイナリー巡りを楽しんで欲しいですね!

齋藤 新 / Arata Saito

オーストラリア、アデレード在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I009)。1999年、経済連を退社し、ニュージーランドに留学→2000年、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。現地の旅行会社勤務などを経て、2002年より現職。クイーンズランド州、ニューサウスウェルズ州、南オーストラリア州の主要都市を移り住み、現在に至る。語学留学、TAFE専門、大学・大学院留学への留学相談、アデレードオフィスでのサポートと様々な形で留学生と接する日々。このカウンセラーに質問する