釣り好き注意!アデレードのイカ釣り 「特例禁漁ルール」

こんにちは、アデレードオフィスの齋藤です。

昨日、アデレード大学を卒業し、アデレードで就職された卒業生とキャッチアップをしました。
コーヒー飲みつつ、近況を話した中で「休日にはよくイカ釣り(エギング)に行っていた」という話になりました。

アデレードは海釣りの場合は「釣りライセンスの購入は必要なく」、各魚種のサイズとバッグリミットさえ理解していれば気軽にできるレジャーの一つです。

アデレード沿岸(セントビンセント湾など)は、本来ならアオリイカ(Southern Calamari)の宝庫です。

「ただ今ってアオリイカは禁漁なんですよね・・」と教えてもらい「え!知らなかった!」・・・なんと、イカ釣りが全面的に禁止されるという「異例の緊急事態」が起きていました。

なぜ? アオリイカが全面禁漁の理由


今回の禁漁は、毎年の定例ルールではありません。

原因は、南オーストラリア州の広範囲の海で発生した「アルガルブルーム(Algal Bloom /有害藻類の大量発生・赤潮のような現象)」です。

2025年後半から発生したこの有害藻類(Karenia属の藻類など)の影響により、SA州の海洋生態系、特に頭足類(イカ・タコ)の資源が甚大なダメージを受けました。海水の環境悪化によってイカの数が激減してしまったのです。

・藻類の毒素がアオリイカの急所である呼吸器官を直接傷つけたこと
・藻類が分解される際に水中の酸素を奪い、窒息死を引き起こしたこと

が主要な原因という研究結果があります。

アルガルブルーム自体は2026年 2月以降から徐々に減少に向かい、4月時点では終息し定期観測もゼロになっていますが、傷ついた海の資源はすぐには戻りません。

南オーストラリア州政府(PIRSA)は、「イカの寿命は比較的短いため、今完全に人間の漁獲をストップさせて卵を産ませれば、早い回復が見込める」と判断し、今回の異例の【アオリイカの全面禁漁】に踏み切りました。

アデレードの近海はイカの宝庫でしたが、その未来を守るための「緊急レスキュー措置」だったというわけです。

なぜ? 禁漁の期間とライフサイクル


いつから? 2026年5月1日から
いつまで? 2027年4月30日まで(暫定)

禁漁の開始時期と期限にもしっかり理由があるんですね。イカの寿命は比較的短く、平均1年なんです。
南オーストラリア州(アデレード周辺)に生息するサウザンカラマリ(Southern Calamari / 南方アオリイカの一種)も、他の多くのイカと同様に寿命は約1年です。

アデレード近海(セントビンセント湾など)は、彼らにとって絶好の産卵床となる海藻地帯が広がっています。

親イカたちは浅場で卵を産み付けると、その直後(約1年の短い生涯の終わり)に寿命を迎えて死んでしまいます。その後、孵化した赤ちゃんイカたちは数ヶ月間、安全な沿岸のシャロー(浅場)で急速に成長し、大きくなると一度深い海へと移動し、また翌年、産卵のためにアデレードの浅場へと戻ってきます。

そして南オーストラリア州近海のアオリイカ (Southern Calamari) の産卵期は 8月〜11月です。この産卵期に向けて5〜7月に栄養を蓄えてから 8月以降の産卵期に備えるので、その前に全面禁漁にして 個体数の回復と定着を図るというものです。ちゃんと研究とエビデンスに基づいて計画されています。

全面禁漁となるエリア


南オーストラリア州政府の「アルガルブルーム回復プログラム」により、以下のルールが適用されています。

(対象エリア)
* セントビンセント湾(Gulf St Vincent)
※アデレード沿岸の主要な桟橋や岩場はすべてここに含まれます。
* スペンサー湾(Spencer Gulf)
* カンガルー島(Kangaroo Island)周辺水域
(規制内容)
趣味の釣り(レクリエーション)およびチャーターボート、商業漁業のすべてにおいて、アオリイカ種(Southern Calamari)を捕獲すること、所持することが完全に禁止(トータル・クロージャー)されています。

ちなみに「リリース前提でもダメです」一切通用しません。
エリア内ではイカ狙いの釣り、エギ(イカ釣り用のルアー)を投げること自体が違反とみなされる可能性が高いので絶対にやめましょう。


アオリイカ以外は?


ちなみにイカ以外は 「サヨリ(Garfish)」も 5月1日 から1年間、禁漁に指定されています。

釣りに行く前の必須アプリ「SA Fishing」


オーストラリアの釣りルールは、今回のように環境の変化に合わせて予告なく急変更されます。

最新情報をいつでも確認できるように、スマホには南オーストラリア州政府公式の「SA Fishing」アプリを入れておくのが釣り人のマナーです。


SA Fishing
SA Fishing
開発元:Primary Industries and Regions South Australia
無料
posted withアプリーチ


禁漁になっている魚種や時期、禁漁地域などすぐにわかるようになっていますよ。

また、南オーストラリア州政府(PIRSA)の公式ページもブックマークしておきましょう。
🔗 [PIRSA公式 イカ釣り規制ページ](https://pir.sa.gov.au/fishing-and-aquaculture/recreational-fishing/rules/species-limits/species-profile/southern_calamari_-_squid)

ビーチは安全なの?


はい、現在のビーチは安全です!安心して遊びに行って大丈夫です!(冬で寒いけど)
*この写真は2026年3月30日撮影の Normanville Beach です。

一時期は有害藻類(プランクトン)の大発生でニュースになりましたが、2月以降から急速に消滅し、冬の冷え込み(南半球のオーストラリアは現在6月で冬真っ只中)によって海水温が下がり、原因となった藻類はさらに「ほぼ完全に消滅・活動を停止」しています。

アデレード周辺の主要なビーチの水質はきれいに戻っており、お散歩やリフレッシュ、景色を楽しむ分には「100% 安全」です。

ただし、レジャーを安全に楽しむために 以下の2つのポイント だけ頭の片隅に置いておいてください。


(1) 野生の貝(ピピなど)は絶対に採って食べない!

水質は戻りましたが、砂の中にいるカキやピピなどの二枚貝の体内には、過去の毒素がまだ残っている可能性があります。中毒を起こす危険があるので、ビーチで見つけても絶対に食べないでください(スーパーで売られているものは安全です)

(2) 変色した水や「大量の泡」には近づかない

もし局所的に海の色が茶色っぽくなっていたり、波打ち際に不自然にブクブクした「白い泡の塊」が溜まっていたりしたら、そこに入るのは避けてください。肌が荒れたり、目が痛くなったりする原因になります。

今の時期のアデレードのビーチは、空気は冷たいですが空が澄んでいて夕日もとても綺麗です。
ぜひ安心して出かけてください!

海の恵みを守るために

オーストラリアは環境保護のペナルティが非常に厳しく、違法な釣りをしていると数千ドル以上の高額罰金にまで発展します。

今回のアオリイカとサヨリの禁漁は悲しいニュースですが、美しいアデレードの海の生態を整えるためにも我慢の時期です。ルールをしっかり守って安全な釣りを楽しみましょう。

齋藤 新 / Arata Saito

オーストラリア、アデレード在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I009)。経済連を退社しニュージーランドへの留学を決意。留学を終え、今後は ワーキングホリデーでオーストラリアへ。現地の旅行会社勤務などを経て、2002年より現職。クイーンズランド州、ニューサウスウェルズ州、南オーストラリア州の主要都市を移り住み、現在に至る。語学留学、TAFE専門、大学・大学院留学への留学相談、アデレードオフィスの留学カウンセラーとして、全力で留学生の進学相談とサポートを行っています。このカウンセラーに質問する