オーストラリアがプラスティックフリーになる日は来るのか?

2020年9月10日、南オーストラリア州議会は Single-Use Plastic(シングルユーズプラスティック)の段階的禁止の法案を可決しました。これは全豪で1番最初に禁止した州となるようです。ただし現状の新型コロナの産業(特にホスピタリティ産業)への影響を考え、実施は2021年初頭から。

Single-Use Plasticとは? 代表的なのは カフェやレストラン、バーなどでの飲み物に使われるストロー、食べ物のテイクアウェイに付属するスプーンやフォークなどです。つまり1回使ったらゴミになる使い捨てプラスティック製品のことです。

Newsはこちら↓
SA bans single-use plastics in Australian first but new rules delayed due to coronavirus pandemic

SA政府サイト情報元
Single-use Plastic Products bans in South Australia

オーストラリア連邦議会で同話題が取り上げられたのが昨年だったと記憶しています。南オーストラリア州以外だと、ACT(特別首都地区)、クイーンズランド州が同じような州法案を討議をしてたと思うのですが、クイーンズランド州は 2021年7月1日からの実施として調整中のようです。

QLD政府サイト情報元
Single-use plastic products ban

もちろん 2020年9月現在まで、市(City Council)や地区レベルでは、試験的に実施もされていますし、独自にプラスティック製品を使わないカフェなどもあります。

今回で 南オーストラリア州においては、2021年初頭から カフェ、レストラン、パブでの食事やドリンク、テイクアウェイ時の使い捨てプラスティックのフォークやスプーン、ドリンクの使い捨てプラスティックストローなどは禁止となり、スーパーマーケットでも一切販売されなくなります。そして、段階的に禁止リストにいくつかの使い捨てプラスティック製品を入れていくことなるでしょう。(個人的にはバブルティーの太いストローは何になるんだろう?と気がかりです)

エコ(リサイクル)やクリーンエネルギーなどについてはどの州よりも早く法案が通ってしまう、実際に実施してしまうのが 南オーストラリア州。

オーストラリアに住む人々にとっては

・ペットボトル、ビン、アルミ缶類のリサイクル(州により1本あたり10セント返金)
・スーパーなどでのプラスティックバック禁止
・(これから)シングルユーズプラスティックの禁止

などが代表的なものになりますが、どれもが1番最初に 南オーストラリア州で州法が成立しています。プラスティックバック禁止で12年前、ペットボトル、ビン、アルミ缶類のリサイクルに至っては22年前!(知らなかった・・)とにかく「環境問題の解決についてなら率先してやってしまおうぜ」(やっちゃえ SA)と言う気持ちがアデレーディアンにはあるようです。

過去のオーストラリア(州別)のエコやリサイクルへの取り組みをまとめてみました。

1998年 南オーストラリア州(州都アデレード)
・Container Deposit Scheme (CDS) にて、指定ペットボトル、ビン、アルミ缶回収を1本につき 5セントの返金制度を導入(全豪で初)

2008年 南オーストラリア州(州都アデレード)
・Container Deposit Scheme (CDS) にて、指定ペットボトル、ビン、アルミ缶回収を1本につき 10セントの返金制度に変更

2009年 南オーストラリア州(州都アデレード)
・プラスティックバッグ禁止(全豪で初)

2010年 ACT(首都キャンベラ)
・プラスティックバッグ禁止

2011年 NT準州(州都ダーウィン)
・プラスティックバッグ禁止
・Container Deposit Scheme (CDS) にて、指定ペットボトル、ビン、アルミ缶回収を1本につき 10セントの返金制度を導入

2013年 タスマニア州(州都ホバート)
・プラスティックバッグ禁止

2017年 クイーンズランド州(州都ブリスベン)
・プラスティックバッグ禁止

2017年 ニューサウスウェールズ州(州都シドニー)
・Container Deposit Scheme (Return and Earn)にて、指定ペットボトル、ビン、アルミ缶回収を1本につき 10セントの返金制度を導入

2018年 西オーストラリア州(州都パース)
・プラスティックバッグ禁止

2019年 ビクトリア州(州都メルボルン)
・プラスティックバッグ禁止

2021年初頭(予定) 南オーストラリア州(州都アデレード)
・使い捨てプラスティック製品禁止(ストロー、フォーク、スプーンなど)、医療関係など一部除く。

*2020年9月時点でニューサウスウェールズ州のみプラスティックバッグ禁止になっていません。

弊社オーストラリア留学センターでも弊社を利用してオーストラリアにきた学生には、Keepcup を差し上げています。これは使い捨てカップをやめようよ、もっと環境について身近なところから考えるキッカケになれば、と言うメッセージでもあります。

使い捨てプラスティックがなくなると同時に代替え品の紙製ストロー、バンブー(竹)製や木製のフォークやスプーンなどを用いるお店が多いようですが(どっちが環境に優しいか?だけで論じるのもちょっと違う問題のような気が・・)、よくよく考えれば ドリンクのストローは、数秒〜数分だけの命です。それだけのために 資源やエネルギーが使われていて、科学的にも物理的にも*環境が犠牲になっているので本当に必要か?の疑問は正しいんだと思います。

*ストローが刺さった海亀の救助の動画を見たことがある人はたくさんいらっしゃると思います。海釣り好きな自分としても、海が汚れるのは(汚す人は)心底嫌になりますし、自身、釣り糸や針などは絶対に釣り場に残さない様にしています(ゴミのポイ捨ては論外!)


南オーストラリア州の Single-Use Plastice Ban は多くの市民、産業界からも支持を得られていると言います。
現時点で生活の中で必ずあるプラスチック製品の全てを無くすことは出来ないけど、少しずつよくしていくことはできるはず。
もちろん、規制をすれば良いと言うわけではないですから、そこからクリエイティブにプラスチックをなるべく使わない&減らす方法を生み出していく方が良いんだろうなと思います。そして一人ひとりの消費者が環境について考えること、小さなことでも行動することが大切なんですよね、と改めて考えるきっかけになりました。

オーストラリアでは、環境問題に興味のある人には、環境学 をしっかり学べる大学がいくつもありますし、もちろん、この南オーストラリア州アデレードの大学でも学べます。
環境に優しいエネルギーから取り組むなら 再生可能クリーンエネルギーを学ぶでも良いでしょうし、プラスティックに頼らない新たな材料を生み出す材料工学を学ぶ、なども面白いかもしれません。
ぜひ環境問題に興味のある方には、いろんな視点からオーストラリアの大学進学も候補にして欲しいです。

齋藤 新 / Arata Saito

オーストラリア、アデレード在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I009)。1999年、経済連を退社し、ニュージーランドに留学→2000年、ワーキングホリデーでオーストラリアへ。現地の旅行会社勤務などを経て、2002年より現職。クイーンズランド州、ニューサウスウェルズ州、南オーストラリア州の主要都市を移り住み、現在に至る。語学留学、TAFE専門、大学・大学院留学への留学相談、アデレードオフィスでのサポートと様々な形で留学生と接する日々。このカウンセラーに質問する