オーストラリアの詐欺物件にはご注意を

オーストラリアや海外で生活をする上で住む場所はとても重要です。

留学生の多くは現地で”シェアハウス”を探すことになりますが、実はシェアハウス探しにトラブルや失敗はつきもの。

特に現在は家探しが大変な時期ということもあり、なかなか良い物件が見つからないことでストレス全開な学生も多いと思います!

そうすると、「怪しい情報」を「オトクな情報」と捉えてしまう方も少なくありません。

そんな中、今回あるお客様から下記の質問をいただきました。

■質問内容
現在は日本にいますが、近々ブリスベンに移動するため、アパートを探しています。日豪プレスで見つけた一人暮らし用の部屋が綺麗で立地も良いのですが、225/週で安くて怪しいのではないかと思ってます。

オーナーにも問い合わせしてみた内容を添付しますのでアドバイスくださると助かります!
よろしくお願いします。


はい、はい。なるほど。

正直なところ、初見の感想でいえば「めちゃくちゃ怪しい物件」です。

理由としては、まず、サウスブリスベンで週225ドルという滞在費

こちらで生活しているとわかりますが、サウスブリスベン且つ、オウンルームで週225ドルって破格すぎます。

さらに、部屋についているものが、「家具 デスク 洗濯機 乾燥機 インターネット テレビ ジム・プール オートロック 駐⾞場 バルコニー/庭 オウンキー」のフルコース。これだけついている部屋なら、週450ドルでも借り手はつくはず。

もう一つは投稿者の電話番号。+447424844434の+44はイギリスの国番号です。少なくとも今オーストラリア国内に滞在しているのであれば、オーストラリアの番号を書けばいいのに、なぜイギリスの番号なのか。

そして「写真」。いつとられた写真かわかりませんが、少なくとも「現在誰かが住んでいるような写真」ではないですよね。生活感が全くない、おそらくこの建物が建てられたばかりの時期に、部屋紹介で取られたプロモ写真のようです。

更にいうと、もしこの物件が本当なら1日も経過せずに借り手がつくと思います。ただ、入居可能日が10月20日とほぼ2週間ほど経過しているのに、まだ借り手がついていない。加えて、なんかそれっぽいこと言っているけど、要点を得ていないメールの文章。

うーん、色々怪しいです。

ただ、現在はシェアハウスを探すのが大変な時期。簡単に「これは詐欺物件」とも言いたくないですし、実はサウジアラビアの大金持ちが保持している物件で、費用を気にしていないかもしれません(0.01%位の可能性ですが)。

ということで、今回は気になる内容が多いこともあり、調べてみました。

STEP1-掲載されているサイトを再度確認

まずは,日豪プレスに掲載されているということで、サイトを確認してみます。タイトルの”Stunning 1 Bedroom 1 bathroom 1 Carpark Apartment”で検索するとすぐに出てきました
ありました。特に記事を確認した時点では内容に変更もないようです。

STEP2-住所を確認

掲載サイト内に「マップを見る」ボタンがあるので、選んでみます。ちなみに具体的な部屋番号は書かれていませんが、住所は19 Hope St, South Brisbane QLD 4101のようです。



いい場所です。ここは近くにスーパーマーケットはありませんが、図書館のほぼ目の前という超好立地。

ただ、昨年自分も引っ越しを検討した際、この周辺の物件を見たことはありますが、2ベッドルームで700〜800ドルほどでした。つまり、通常であればシェアルームで部屋を借りるにしても、1部屋で週400ドル程は必要なはずです。

念の為、不動産サイトのDomain.com.auを利用し、住所検索してみましたが、まあ家賃的には、今も変わっていないようです。

しかし、家賃は本当高くなりました。。サウスブリスベンエリア。。。

STEP4-写真を確認

改めて写真を確認します。
モデルルームみたいな部屋ですねー。

そもそも、この写真自体が合成の可能性もあるのですが、左下に見える線路の一部や、遠くに見えるMt Cootha。あと、右側の白い屋根は、West Endの工場地帯の建物のようなので、たしかにこの住所から、撮影されたもののようです。

ただ、左側に見える工事中の建物。これは古すぎます。この建物は数年前に完成しており、この写真自体はかなり古いようです。

STEP5-Google MAPで年代ごとの写真を確認


写真内に映っている、工事中の建物はこれですね。

2018年の段階ではまだ工事が進んでいますが。。。
工事の進捗状況を見ると、掲載されている写真は2018年前後の写真のようです。

なぜ、最新の写真を送らないのか。。。

STEP6-Google 画像検索で確認


Googleの画像検索を使って、同じ写真が使われている記事を探してみます。

対応するブラウザ上で画像を右クリックすると、「Googleで画像を検索」のメニューが表示されるので選択→Googleの画像検索上で結果が表示されます。
いきなり見つかりました。

2017年のCheersに掲載された記事のようです。

募集詳細としてはかなり近い内容であ貼りますが、記事が古すぎることもあり大元のサイトでは画像は表示されませんでした。

突然のFinal-決定的な情報を発見

更にスクロールをしてみると、過去にあった詐欺物件の投稿で、ドンピシャな内容が出てきました。

【注意喚起】住まいの詐欺にご注意ください


最初からこの記事を見つけておけばよかった。。。

ということで調査の結果「100%の詐欺物件」という結果でした。

ちなみに、今回質問頂いたお客様は、すでに当社経由でお申し込みを行い、留学を開始されたお客様でした。今回、一時帰国をした上で、再渡航を予定していたこともあり、今回の費用についても「おかしい」と感じての質問でした。

これは実際にオーストラリアに住んでいたからこそ(オーストラリアの家賃相場を知っているからこそ)、おかしいと感じたわけで、サイトの情報を鵜呑みにしなかった、質問者さんのファインプレーでもあります!

また、今回調査のために利用した日豪プレスや、Cheersの他、Flatmate.com.au等、いくつかのサイトでシェアハウスの情報を提供していますが、掲載しているサイト自体に落ち度はありません。

たまに、「こういう情報を掲載するサイトが悪いですよね!」というような相談を頂くこともありますが、悪いのは詐欺をする人たちです。サイト運営側に落ち度はありません。

シェアハウス詐欺の手口を理解する

まず、オーストラリアで家を借りるときによくある詐欺は以下のような手口です。
  • オシャレな部屋の写真を掲載する
  • 留学生にとって、オトクな条件を掲載する。
  • ただ、内見は禁止。色々理由を付けて契約するまでは家の住所を教えてくれない。
  • 場合によっては契約のために手付金を要求する。
  • 敷金を支払った後は、全く連絡取れなくなる。

上記のパターンは、詐欺の王道パターンと考えてください。

シェアハウス詐欺にあわないために

下記が答えということではありませんが、シェアハウス詐欺にあわないために抑えるポイントをまとめてみました。

リサーチを徹底する

  • オンラインで画像や住所などをもとに、できるだけ調べる。
  • オーナーに写真を依頼する場合は、最新の写真を依頼する
  • 物件が掲載されているウェブサイトが信頼できるか確認する。

    物件を直接確認する

    • 実際に物件を訪れて確認する。これが最も重要です
    • 物件の写真と現地の状態が一致するかチェックする。

    入居前に契約を読む

    • 契約書の内容を確認し、理解してからサインする。
    • 契約条件、支払い条件、退去時の条件などが明確に記載されていることを確認する。
    • もし契約書がないのであれば、自身で契約書を作成するのもあり(2週間前に退室の連絡をすれば良い等)。

    セキュリティデポジットに注意する

    • セキュリティデポジットは法的な規定に基づいて適切な方法で支払う。
    • 高額なデポジットや不自然な支払い方法を要求された場合は疑問を持つ。

    支払いには細心の注意を

    • 「現在海外にいるから、物件は見せられないけど〜」的な説明をしてきたオーナーには支払わない
    • できる限り銀行振込みや信頼できる支払いサービスを使用する。
    • 現金での支払いや見知らぬ第三者への送金は避ける。
    • 支払い後は領収書を必ず受け取る

    詐欺を識別する兆候に注意する

    • 家賃が市場価格よりも著しく安い。
    • 物件の所有者が海外にいる、緊急を要する、などと言われる。
    • 物件を見る前にデポジットや家賃の前払いを要求される。

    通報機関や支援団体を活用する

    • 疑わしいと思ったら、オーストラリアの消費者保護機関や詐欺対策ホットラインに相談する。

    コミュニティの情報を活用する

    • 現地のコミュニティやフォーラムで情報を集める。
    • 既にシェアハウスに住んでいる人からの情報を得る。

    直感を信じる

    • 何かがおかしいと感じたら、その物件からは手を引く勇気を持つ。

    当社では、シェアハウス探しの代行等は行っておりませんが、オーストラリアでのシェアハウス探しはなかなか大変ですから、間違った情報に惑わされないように注意しながら部屋を探してください。

    また、海外での生活を安全かつ快適に過ごすためにも、現地に到着したら、時間をかけて慎重にシェアハウスを探すことをオススメします。
  • 林 真生 / Hayashi Masuyo

    オーストラリア、ブリスベン在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I008)。日本では販売業、IT関連業に携わり、海外といえば旅行でヨーロッパやアメリカを訪れる程度。そんな中、友人のススメもあり、2002年ワーキングホリデーでゴールドコーストへ。右も左もわからない中、留学代理店(現職)のWEBサイト制作をする機会に恵まれ、1年間夢中で専門知識を身につける。その後、勤務先のサポートを得て2006年に永住権を取得。2年後、新オフィス開設に伴いメルボルンに転勤、約7年間をメルボルンで過ごす。しかし、QLD州の暖かさが忘れられず(?)、 2015年7月にQLD州に戻り、現在ブリスベンオフィスの留学カウンセラーとして、全力で留学生のサポートを行っています。このカウンセラーに質問する