平日はフィッツロイ、Sir Charlesでコーヒー豆のロースター(焙煎士)、週末は郊外の地元密着型おしゃれカフェLiar Liarでトップバリスタとして活躍する平山 峰一さんとの面白すぎる飲み話をご紹介しました。(詳しくは前回までの記事を見てみてくださいね♪)
今日は峰さんが、ひょんなことで出逢ってしまった運命のカフェ、Liar Liarでのお仕事がめでたく決まり、働き始めてからの山あり谷ありのお話です。
本質が大事。トップバリスタ/ロースター、峰さんと飲む
トップバリスタ/ロースター峰さんとコーヒーのはじまり
勤めて半年、いきなりヘッドバリスタに任命!立ちはだかった壁
晴れてバリスタとして働きだし半年、転機が起きました。当時ヘッドバリスタだったトムが他店に移ることになったため、勤めてたった半年だった峰さんですが、腕を買われヘッドバリスタに任命されます。
「でもその時はチャンス!とかではなく、トム絶対辞めんといて無理!って思った。英語にスタッフ教育‥自分にできると思えなかった。でも、周りが”うちのチームは大丈夫だから!無理だったらその時考えよう!”くらいの勢いで‥波に飲まれるようにヘッドバリスタになってしまったんだよね〜。」
最初の3ヶ月はできない事の多さや大変さに、ヘッドバリスタになったことを後悔もしました。
「店に行ってコーヒーだけ作ってたら良いってわけじゃなくなった!発注、シフト決め、電話対応、備品管理、一転ハイヤリングをする立場に。なにより語学力が追いつかず、お客さんやスタッフにため息をつかれることもあった。」
苦しい思いもしつつ1年間、峰さんはがむしゃらに働きました。
一年で帰国するつもりが
当初の予定ではワーキングホリデービザの期限である一年で帰国すると考えていましたが、Liar Liarで働くうち、多くの出逢いがあり”行けるところまで行ってみよう”と思うように。そんな峰さんは現在メルボルンに3年半在住しています。「一年は短すぎる。帰国が迫ってきて、『難しいけど、もっと挑戦してみたい!』って思ったけれどスチューデントビザを取るにはお金がかかりすぎる。それで帰国2ヵ月前にオーナーに相談したんだ、『もっと勉強したい』って。キッチンで働いている同僚もビジネスビザもらってたんだ。」その後店がスポンサーとなり、峰さんはビジネスビザを取得することができたのです。
声も出ない。心が折れかけた時に気付いたこと
がむしゃらに、歯を食いしばるようひたすらに働く日々。2年目、ある日から舌が痛むようになります。症状はだんだんと悪くなり、しまいにはしゃべれなくなってしまいました。原因は文字通り、”ずっと歯を食いしばって働いていたから。”そんな時期が1−2ヵ月続きました。うまく隠してたものの、”もう潰れてしまう” 、”辞めて日本に帰ろう”と思い、ついにその事実を仲の良い同僚に打ち明けました。すると同僚は「Liar Liarは峰でしか成り立たない。峰が辞めるならオレもやめる。ストレスの原因を解明しろ。」と返すのです。
それまでそんなこと1度もしてこなかったけれど、これをきっかけに自身の弱みや、逆に強みも見つめることができました。だんだんストレスの原因も分かってきて、弱い部分は周りのスタッフがカバーしてくれました。
ストレスの原因は言語、プレッシャー、責任。ヘッドバリスタになった当初、今まで通ってくれていたお客さんが離れていき、悔しい思いをして肩を落とす日もあったそう。でもそれをバネにして頑張る強い意思が峰さんにはありました。
「だからこそ英語の勉強も頑張れたし、お客さんやスタッフとのコミュニケーションの大切さもわかった。そこを乗り越えられたからこそ抱えていたものから解放された。」
下じゃない、前を向けるバリスタが良いバリスタだ。
峰さんはネイティブの環境で働き英語に自身にハンデを感じていた分、ホスピタリティーについてよく考えていたそう。「僕はどういう人にコーヒーを作っているのかちゃんと見たい。コーヒーばっかり、下向かずに。お客さんに好かれるバリスタになりたかった。」
今やハイレベルなメルボルンのコーヒー文化最前線で活躍される峰さんですが、様々な出逢いや葛藤があって今に至ったのですね。困難な中でどんな選択をするのか、行動するか、努力するかで人生は大きく変わること、お話を聞いていてとても勉強になりました。
いよいよ次回は峰さんとの飲み話最終回!”峰さんのコーヒー哲学”。
バリスタとしての仕事に対する姿勢、お店やお客様への愛。‥コーヒー好きにはたまらないお話をお楽しみに〜!♡