今日は峰さんが愛してやまないコーヒーに京都で出逢ってしまったというお話からです。
峰さんとコーヒーのはじまり。プロフェッショナルに出逢う
日本では当初大手飲食店チェーンで働いていたという峰さん。脱サラをして働くことになった2つのお店で大きな影響を受けます。家の近所にオープンした、ご夫妻で経営されている京都のカフェ、"Weekenders Coffee"に週末手伝いをするかたちで働き始めます。ドリップのブレンドコーヒーが主流だったところ、Weekenders Coffeeでは当時画期的だった、La Marzocco LINEA(エスプレッソマシーン)のみでコーヒーを提供する方法で提供していました。※ブレンドコーヒー=エスプレッソ+お湯で作る(ロングブラック/ アメリカーノ)
峰さん曰くご夫妻は「コーヒーで”表現しきっていた”」そう。お店では自分たちが美味しいと信じたもののみを提供するスタイル。それもとことん”狭く深く”追求されたもの。
「Weekenders Coffeeで働くうち、コーヒーに対して熱く情熱を持つようになり、ご夫妻のおかげでコーヒーに対して高い目標が持てた。」と峰さんは振り返ります。
また、小さなフレンチビストロでの出会いも衝撃的なものでした。スタッフは全員食に精通されていて、レベルは高いソムリエ、フランスで長く修行されていたシェフ。峰さんの言葉を借りれば”料理やワインにたいしてえげつないほどプロフェッショナル”。海外に行きたいという元々の峰さんの夢は、洗練されたプロフェッショナルたちの後押しがあり、更に大きくなったのでした。
海外進出に向けて
2店舗で一年半ほど勤めた頃、もっと活躍したい、エスプレッソを掘り下げるならもっとコーヒーに触れられる海外に出ることが重要だと真剣に考えるようになりました。「最先端の海外レベルを自分のスタンダードにしたかった。きっと生意気だったんだ、俺。」と峰さんは笑って話します。
英語は全然できなかったけれど、自身でコツコツと勉強も重ねました。また、京都に住んでいる幅広い年齢層の外国人に向けてボランティアで日本語を教えるチャレンジも。国際交流会館という場所で「1日ワンフレーズ覚える」という内容で20名程の生徒に授業を行いました。
※「困った時は『そうですね〜』が役立つ!」という、超実用的な授業には正直笑ってしまいました。
一路ロンドンへ。あれ、何しに行った?”ミーハー”で終わった。
当時”コーヒーのアツい場所”として有名だったアメリカ西海岸とロンドン。峰さんのコーヒー修行の第一都市目はロンドンでした。「有名なカフェや目をつけていたコーヒー屋さんには行ったものの、英語もわからない上、着目すべきポイントがわかってなかった。行って写真撮って、コーヒー飲んで終わり!ミーハーなだけな視察になっちゃった。帰国してから得たものはなんだろうって考えたときに自分には何も見えてなかったな、って。」
この経験を機に本質をしっかりと知らなくてはいけないと思い本気で海外で修行しようと決心します。
メルボルンは適当に決めた消去法!?
峰さんがビザの手続きをしたのはワーキングホリデービザ申請の年齢制限(31歳の誕生日前)が近づく、30歳の時。当時、峰さんはメルボルンがこんなにコーヒーが栄えているとは知らず、適当な選択だったと言います。ワーキングホリデーで行ける国の中から絞り込んだオーストラリアとニュージーランド。"ネットで手続きできるから"という理由。そして最終的には”オーストラリアのほうがでかい!”という理由からオーストラリア行きを決定。たまたまその年にワールドバリスタチャンピオンシップという世界最高峰のバリスタ競技大会がメルボルンで開催するという情報を掴んだ峰さん、メルボルンに最終決定したそうです。image from World barista championship FB page
「その年にやってなかったら他の都市だったかもね〜」とへらりと笑っていましたが、この適当なメルボルンチョイスは峰さんにとってのベストチョイスとなったのです。
「コーヒー文化もカフェも栄えている。そして色んなことがバランス良い!自然と都会のミックスも丁度いいし、クラフトビールもうまいし。」と手にするビールに幸せな視線を寄せつつ話します。(峰さんは大のビール好き)そして「良いもの」にお客様がお金を落とすのもオーストラリアの文化も良いところ、と付け加えました。
峰さんの就活。I can make good coffee.
就活を始めた頃、有名所のカフェをたくさん回ってみたものの勇気が出ずレジュメを落とせなかったこともあったとか。しかし、オーストラリアに来てたった2週間で早くも運命の出逢いを果たし、仕事をゲットしてしまいます。ある日、とあるカフェが目的で就活にやってきた峰さん。その時タイミング悪く店は満席。たまたま時間を潰そうと近くにあったカフェ、 ”Liar Liar”に入り、大好きなエスプレッソを頼みカウンター近くでぐいっと立ち飲みしました。その姿をスタッフが面白がり、「何だオマエ、どこの国から来たんだ。」"I'm from Japan. I can make good coffee."そしてレジュメを置いてくることとなりました。
翌日、奇跡的に電話が来ます。でも誰からかがわからない。早い英語の中かろうじて聞き取れたのは”トライアル、トゥデイ、10AM”のみ!電話番号をインターネットで検索して、幸運にもお店が判明。電話は当時Liar Liarでヘッドバリスタだったトムからでした。日本から持ってきたコーヒー道具一式を持参し出陣!
「でも、『それはいらん』と言われて、すぐさましまったわ。笑」
どの道のプロフェッショナルにももちろんスタート地点があります。
話をしていて"プロがプロになる一歩目"が垣間見えたような気がしました!色んな出逢いや気持ちを大切にして、なにより行動していくと、自分でも想像しなかったような道が広がっているのかも…!
バリスタとしての仕事に対する姿勢、お店やお客様への愛。そしてコーヒー哲学‥コーヒー好きにはたまらない、おもしろ飲み話はまだまだ続きますよ〜!