ファイナンシャルイヤーって何?

オーストラリアの短い冬が始まる6月。私が住んでいる比較的暖かいゴールドコーストではサーファーは年中海に入っています。昼間は半袖でも過ごせる日が多いのでビーチで遊ぶ観光客の姿はちらほら見かけますが、基本的にはビーチに行ったりアウトドア・アクティビティをするには少し寒い季節です。一方で、凍えるほど寒くもならないし、誘惑も少ないので落ち着いて勉強するにはいい季節かもしれません。

この時期になると「Financial Year(ファイナンシャルイヤー)」という言葉をよく耳にします。これは「会計年度」のことで、オーストラリアでは7月1日から6月30日です。個人及びほとんどの会社はこの期間を決算期としています。一方、1月1日に始まって12月31日に終わる1年を「Calender Year(カレンダーイヤー)」と呼んでいます。

ちなみに、会計年度とは公官庁が予算を執行するために設定している1年間です。日本の場合、会計年度と決算期にはずれがあります。会計年度は4月1日から3月31日ですが、決算期は個人は1月1日から12月31日、会社は自由に定めることができますが、3の倍数月(3月、6月、9月、12月)を期末とすることが多いようです。

Financial Yearの終わりである6月になるとオーストラリアではみんながその年度の会計をまとめる準備を始めます。

決算セール

決算セールとは、「決算前に財務諸表の内容を良くするために行われるセール」です。単に売上を伸ばすことが目的ではありません。例えば、在庫は現金などと同様に資産ですが、売れずにずーっと残っていて価値が下がっているもの(不良資産)は財務諸表の内容を悪くしてしまいます。ですから、多少赤字が出ても在庫を減らすためにセールを行うのです。財務諸表は上場企業であれば自社の株価に影響しますし、中小企業にとっても銀行からお金を借りたり、取引先の信頼性を見極めたりするのに大切な資料となるので、できるだけ内容を良くしておきたいのです。

ですから、6月には一斉に決算セールが行われます。荷物の取捨選択に苦労する留学前の渡航準備。洋服などは少なめにトランクに入れて、この時期に買い足すとよいかもしれませんね。

Tax Return

留学生やワーキングホリデーメーカーなどを含むオーストラリアで収入を得た人はオーストラリアの所得税を支払う必要があります。それに伴い、前年7月1日から今年の6月30日までの確定申告を7月から10月までの間にしなくてはなりません。この申告に必要な領収証などの資料を準備し始めるのもこの時期です。(Tax Returnについては次回詳しくお話します。)

新年度へ向けての計画

「年度末」ということは、会社などでは1年間のまとめをし次年度に向けた計画を立てます。気持ちが引き締まり、新しい年度に向けてリフレッシュする季節です。当社も先日全豪6支店及び東京からスタッフがあつまり、来年度へ向けた会議を行いました。

 

特にゴールドコーストは一年を通じて過ごしやすく、日本のような季節を感じることは少ないかもしれません。でも、年末同様、やはり一年終わるなぁと感じるFinancial Yearの終わり、オーストラリアの6月です。

天ヶ瀬 有美 / Yumi Amagase

会計業務などを担当しています。

日本の大学で経済学部を卒業後、金融関係の会社での勤務を経て、2012年にワーキングホリデーで渡豪。「1年しかないなら、やりたいことは全部やる!」を目標に、大自然の中でのローカルの仕事などを経験。翌年、就職活動で英語力を証明するためのIELTSを学びに語学学校へ入学し、卒業時にIELTS6.5を取得。もっと学びたいと、サザンクロス大学会計学修士課程(Master of Professional Accounting)へ進学。2015年11月に同大学を卒業し、現職。

趣味は旅行、散歩、カフェ巡り。これまでに23カ国を訪問。オーストラリアでもたくさんの都市に出かけました。オーストラリアで出会ったコーヒーも大好きです。