エレベーターのボタンでわかること

オーストラリアで長く生活していると、話をしなくても「この子、日本人では!」と思わせる行動が、いくつかあります。

その一つが、エレベーターにある「閉まる」のボタン。


例えば、エレベーターに乗ってきた人が、閉ボタンを押した場合、その人は日本人の可能性が高いです。の見た目がアジア風であれば、ほぼ間違いありません(2015−2016年度-自分自身の統計より)。

この前も、ランチを終えオフィスに戻るために、数名がエレベーターに乗り込んだのですが、ある女の子が、最後に滑り混むようにエレベーターに乗るや否や、流れるように「閉ボタン」を押しました。実にスムーズで、無駄がありません。もう、習慣になっている動きです。

「オーストラリア留学センターの生徒さんですか?」と聞いてみると、見事正解。日本人の留学生でした。

「この林ってやつは、何を言っているんだ」と思うかもしれませんが、オーストラリアで生活している人の多くは、"閉ボタン"を押しません。「押しません」と言い切るのは少し怖いですが、自分の知る限り、日常生活で閉ボタンを押す人は、本当に少ないです。

なぜかといえば、押す理由がありません。

エレベーターに乗り込んだあとに、扉が空いていても、特に気にしません。他の人が、エレベーターに乗ってくる事も考え、自分の目的となる階のボタンを押したあとは、自然にドアが閉まるまで待つのがほとんどです。

自分も、すっかりオーストラリアでの生活が長くなり、閉ボタンは押さなくなりました。

気遣いの違い

流石、オーストラリア。のんびりというか、余裕というか、時間の使い方が日本と違うなと、こんなボタン一つでも気付かされます。

ただ、「日本人は閉ボタンを押す」=「日本人がセッカチ」という理由だけではないのも、わかります。日本人が「閉ボタン」を押す人が多いのは、周りへの”気配り”という面も多分にありますよね。

「他の人は急いでいるかもしれない」「周りの人は閉ボタンを押して欲しがっているのでは」と考えを巡らせて、閉ボタンを押す人も多いと思います。これが、日本式の気遣いです。

対して「他の人が乗ってくるかもしれないから、焦る必要はない。気持ちもエレベーターもオープンで行こうぜ!」というのが、ある意味、オーストラリア式の気遣いと言えます。

自分がオーストラリアは暮らしやすいと感じるのは、こういう「時間の余裕」を垣間見れるからだと思います。

海外で生活をしていると「自分の常識=世界の常識」ではないと感じることも多くありますが、留学生の皆さんには、こんなちょっとした違いにも気がつけるよう、時間に余裕を持ちながら、留学生活を送って欲しいと思います。

林 真生 / Hayashi Masuyo

オーストラリア、ブリスベン在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 I008)。日本では販売業、IT関連業に携わり、海外といえば旅行でヨーロッパやアメリカを訪れる程度。そんな中、友人のススメもあり、2002年ワーキングホリデーでゴールドコーストへ。右も左もわからない中、留学代理店(現職)のWEBサイト制作をする機会に恵まれ、1年間夢中で専門知識を身につける。その後、勤務先のサポートを得て2006年に永住権を取得。2年後、新オフィス開設に伴いメルボルンに転勤、約7年間をメルボルンで過ごす。しかし、QLD州の暖かさが忘れられず(?)、 2015年7月にQLD州に戻り、現在ブリスベンオフィスの留学カウンセラーとして、全力で留学生のサポートを行っています。このカウンセラーに質問する