教育の現場に変化が起きている。
「アクティブラーニング」とうい言葉をご存知だろうか?
生徒が自ら参加し、考えることができる教育スタイルとして、注目を集めている教育法だ。
by ajari
今の新入社員は、いわゆる「ゆとり教育」を受け、何かと「ゆとりだから」と揶揄されることが多い世代である。とある大手企業の人事担当の方の話を聞くと、「ゆとりだなんだ、と言われるが、皆さん頭がよくて素直」と悪くない評価である。上司や先輩の言うこともちゃんと聞くし、仕事もまじめに取り組む。
しかし、大きな問題点があるという。
それは、「教えたことはしっかりやる。だけど、教えられていないこと、マニュアルに載っていないことに直面するとできなくなる人が多い」そうだ。
仕事を教えるといっても、マニュアル化できる部分とできない(あるいはしづらい)部分がある。また、実際の仕事の現場では、1から10まで手取り足とり教える余裕がない場合も多い。そのため、自分自身で試行錯誤することが必要となる。それができない人が増えているのではないかと、人事の方は考えている。
つまり、「自分で考える力が弱くなっている」ということである。
私自身、自分を含め、漠然と日本人が全体的に「考える力」が弱くなっているのではないかと感じている。過去のブログでも、「考える力」について書いたこともある(「1+1=2の思考法」「最近の若者は」「ユニバーシティ・ブルー~悩める大学生たちへ~」等ご参照)。
「考える力」について考え始めたのは、私の仕事である「留学」が大きく関係している。
オーストラリア留学となると、英語力アップはもちろんだが、「経験」を期待して留学する方も多い。例えば、1年間休学をして留学する大学生は、限られた期間の中で、できるだけの成果を出したいと考えている。成果を出すためには、留学先で何らかの「経験」が必要となる。
わかりやすいものとして、留学先でのインターンシップはよく聞かれる「経験」の一つだ。
インターンシップという「経験」をするためには、まずはインターンシップに何を求めるのかを考えなければならない。そして、どのようにインターンシップをするのかを考え、インターンシップをするために行動を起こす。
インターンシップ中は試行錯誤の連続だ。
ただ、ここで「考える力」が弱ければどうなるだろうか。
インターンシップをするところまで辿りつけないかもしれない。インターンシップをしても、何だかよくわからないままに終わっていくかもしれない。そうなってしまうと、せっかくインターンシップをしても、「大変でした」とか「英語が難しかったです」といったような感想だけで、プラスとなる「経験」にならないかもしれない。
留学というものは、あくまでも「活用する場」であって、留学すれば自動的に英語が上手くなるわけでもなければ、何かプラスになるような経験が積めるわけでもない。
留学に来る方の目的は様々なので、休学留学のように「何か成果を出したい」と考える方もいれば、日本の生活に疲れたから「ちょっとリフレッシュに」という方もいる。留学の目的は何でも(というと少々乱暴だが)良いと思う。ただ、何かしら「成果を出したい」と考えている方は、どのような留学にするのかを考え、そして、実践していく必要がある。
このように「考える力」について考えていた時に、都内高校の教員であるHさんに「アクティブラーニング」という教育法があり、すでに実践されていることを教えて頂いた。
今回3月末に日本出張へ行くことがあったので、これをチャンスと、Hさんにお時間を取って頂き、アクティブラーニングについてお話を聞かせて頂いた。
Hさんのお話で印象的だったのは「大人が環境を整えれば、子どもたちはちゃんと考えて行動するんです」という言葉だった。
「日本の教育が変わる」と題して、3回に渡り、「アクティブラーニング」と「考える力」について、考察していく。