久しぶりでのワインブログですが、今回はクレアバレーに行ってきました。
オーストラリア最高のリースリング産地と言われるクレアバレー、当日は35度という夏晴れ、いつも以上に白ワインが美味しい日です。
アデレードのワイナリー巡りは当ブログにてシリーズ化していますが、他都市から遊びにきた人に「ワイナリーに行く際、ブログを参考にしていますよ!」と言われてすっかり専門家風を装っていますが、ただのワイン好きです ww
さて、クレアバレーは、アデレードの北約140km、車で2時間弱ほどの距離にある南オーストラリア州のなかでも歴史の古いワイン産地です。
1840年代に、イギリス、アイルランド、ポーランドからの入植者が最初に移住、その当時からの村や建築物などがまだ残っています。バロッサに比べれば地味すぎるくらいにワイナリー以外「何もない!」のですが、まさにValleyと名のつく感じです。
クレアバレーには、40箇所ほどのワイナリーがあり、殆どが小規模ワイナリー。地図上でいうとAuburn ~ Clare までの全長約30kmの中に集中しています。
その中で全長約25kmの「リースリングトレイル」という自転車専用道路があって、その行程をサイクリングしながらワイナリー巡りを楽しむこともできます。
http://www.rieslingtrailbikehire.com.au/bikehire/
今回もアデレード大学院でワインビジネスを学ぶ大川さんと一緒に行ってきました。
その大川さん曰く、今ではコルクの代わりに一般的になったスクリューキャップのワインボトル、オーストラリアで最初にスクリューキュップへの移行に同意した地域がここ、クレアバレーだそうです。品質保持の合理性を考えると至極妥当とのこと。そこら辺は大川さんのブログでどうぞ。
さて、自分の記録も兼ねてですが、セラードアの様子も一緒にご案内します。 今回廻ったのは4件のワイナリーです。Clare Valleyには有名どころではTaylors やAnnie’s Lane などありますが、やはり大川さんと行く以上、ワイナリーの規模に関わらず、評価が高い、というお勧めのところへ連れて行ってもらいました。
Crabtree Winery
大変小さなワイナリーです。畑も13ヘクタールしかありません。そして、セラードアもどこぞの家のリビング?と思わせる雰囲気ですが、そういう隠れ家感がたまりません。
多くのワイナリーはぶどうの収穫には機械を使った効率化が図られるなか、この Crabtree Winery では全て手摘みの手作業です(HAND PRUNED • HAND PICKED • HAND CRAFTED)。ここのワインは全て、人の手が一つ一つ摘んだぶどうから造られている、と思うと美味しさも倍増。
冗談抜きで最初にテイスティングしたリースリングでガツンとやられてしまいました。そして最後にテイスティングしたGrand Muscat が、本当に今まで飲んだことがない、すっきり飲み口のデザートワインでした。デザートワインは、ワインをあまり飲めない人へお勧めしがちですが、好きな人こそ試してみるべし!
Kilikanoon Wines
今まで廻ったSA州のワイナリーの中ではトップ3の一つになりました。
ワイン本来の美味しさ、スタッフの接客と知識、などトータルでワインテイスティングの楽しさや美味しさも変わりますが、まさにパーフェクトだったと思います。
大川さん曰く、「最初の白から始まり、赤、そしてデザートワインと料理でいえばフルコースを最初から最後まで時間を忘れて楽しめたナイスなプレゼン」という感じ。コメント深いですねー。
ここでは赤ワインもしっかり試飲しました。このワイナリーでのフラッグシップワインのセカンドクラス(Covenant Shiraz 44ドル)の美味しさに「スゴイ」を連発してたら、通常はテイスティングに出さないフラッグシップワイン(Oracle Shiraz 1本80ドル)のボトルもテイスティングさせてくれました。
ニューボトルを目の前で抜栓したので、ワインを空気に触れさせるためにも「少し時間をおいて楽しんでね」という気の使いよう。ワインに詳しくなくても、しっかりその気にさせて楽しませてくれます。
クレアバレーはリースリングで有名ですが赤ワインも畑によってはちゃんと作られています。
特にクナワラと同じ表土は赤土、下層は石灰岩という土壌も存在してるようで、そこで作られる赤はやはり良いものが多いそうです。
このKilikanoon Winesは、James Halliday のAustralian Wine Companion で2013年度ワイナリー・オブ・ザ・イヤーに選ばれています。ちなみに、2012年はPenfolds(バロッサ), 2014年はHentley Farm(バロッサ)と、ここ数年は全て南オーストラリア州のワイナリーが獲得しています。
Jim Barry Wines
クレアバレーの中でも優秀な生産者として名高いワイナリーです。
創業者のJim Barry はクレアバレーでワイン作りを始めた当時は、唯一の大学(Roseworthy College)で醸造学を学んだワインメーカーだそうで、、、、ただ、本当に申し訳ない。。 スタッフのおじさん、現マネージングダイレクターのPeterさん(創業者の息子)も奥から出てきて自分たちと握手を交わすぐらい、接客も和気藹々としたフレンドリーなのですが、午前中に廻った2件が良すぎたこと、そしてココでのテイスティングが専用機械によるもの、など、商業的な趣きにちょっと残念になってしまいワインの写真も撮り忘れ。。
たぶん、ワインは素晴らしいものに違いないはずですが・・再挑戦でいつかボトルを購入してみたいと思います。
Sevenhill Cellars
この日、最後のワイナリーは、Sevenhill Cellarsです。
1851年に、イエズス会修道院(Jesuit Monastery)がこの地域で初めてぶどうが栽培されたセブンヒルのワイナリーがこのSevenhill Cellars になります。オーストラリア最古の修道院らしく、ワイン名もフランシスコ・サビエルなどが使われています。
ここでは地下のセラーも見学可能です。セラードアの前には広い芝生、教会と景色はとても素晴らしいです。
ここは、2014年度のClare Valley地域のワイナリーでセラードア・オブ・ザ・イヤーを獲得していました。
以上、4つのワイナリーを巡ってきました。
リースリングは自分の中の位置付けでは、ちょっと甘口の白ワインという思い込みがあり、今までは、あまり好んで買う品種ではありませんでした。そして、クレアはデザートワイン(貴腐ワインなど)も有名だと今回初めて知ったわけですが、実はデザートワインもあまり好みではなかったのです。。しかし、今回4件のワイナリーを巡って意識は全く変わってしまいました。クレアバレーのリースリングはしっかりとした辛口ドライ。オーストラリアはこれから夏です。さっぱり飲み口は夏場には最高です。
そして帰宅後は買ってきた白ワインにはシーフード、ということでホタテやエビ、サーモンをバーベキューで楽しみながら美味しくいただきました。
最後に、アデレードからクレアバレーに行く途中、Roseworthy(ローズワーシー)という田舎町を通り過ぎます。
このローズワーシーには、オーストラリアで最初の農業大学で世界4大ワイン大学の一つと言われていた Roseworthy College がありました。
Roseworthy College で醸造学を学んだワインメーカーは数知れず、オーストラリアの現存する有名ワイナリーのワインメーカー(醸造家)の殆どが Roseworthy College の醸造学を卒業しています。このローズワーシーから北東に行けばバロッサ、北にいけばクレアバレーという中間の好立地を考えれば、この地にぶどう栽培や醸造学を主とした農業大学があった歴史もうなずけます。
Roseworthy College は1991年にアデレード大学と合併し、その歴史と醸造学、ワインビジネス学はアデレード大学で引き継がれています。
現在のRoseworthy Campus は獣医学が入っていて、醸造学などはアデレード大学の Waite Campus、ワインビジネス学はNorth Terrace Campusにて開講しています。
アデレードにはワイン好きに堪らない天国なような環境が待っています。
ワイン学を学べる場所は全世界でも少ないですから、ワイン業界へ興味のある方、ぜひアデレードで自分の可能性を広げてください。