今回は、なぜマイナンバーの提示が必要になったのかについてシェアしたいと思います。
世界中の大富豪や大企業が税制優遇措置を実施している国や地域(タックス・ヘイブン)を利用して租税回避をしています。税制優遇措置自体は途上国発展や経済戦略のため必要とされているのですが、過度な国際的租税回避・不当な節税は資本主義や富の再分配などに悪影響を及ぼします。そのため、各国はそれぞれタックス・ヘイブン税制対策に取り組んできました。そして、2015年にはOECD(Organisation for Economic Co-operation and Development:経済協力開発機構)の会議で各国間での収入や税金支払などの情報を共有する旨の合意がなされ、日本では2016年に法整備、2017年より施行されたわけです。この情報共有のため、オーストラリアで銀行口座を開設する際にマイナンバーの提出が必要になりました。
現時点では、普通にワーキングホリデーメーカーや学生としてオーストラリアに滞在する場合には特に大きな影響はないようです。しかし、今後はオーストラリアでの収入も日本の国税局が把握しているということを理解しておくと、何にか連絡を受けた時に焦らずにすみます。
なお、海外転出届を提出するとマイナンバーカードは返納しなければなりませんが、ナンバーそのものは一生変わらないので、返納した際に番号が入った書類を受領し、帰国時にはその番号を提示して再度マイナンバーカードを取得することになります。口座開設の際に必要なマイナンバーは返納していても大丈夫です。今のところ書類の提示は不要で書面に記載するだけなので、マイナンバーの書類を持ち歩きたくない人は、日本にいるご家族にすぐに確認できる状態にしておきましょう。
余談ですが、Tax HavenのHavenは「避難所」という意味です。日本語表記も「タックス・ヘイブン」となります。Heaven「天国、ヘブン」と綴りが似ており、意味的にも「税金払わなくていい=天国」と間違って理解している方も多いのではないでしょうか。ちなみにドイツ語やフランス語では「天国」という意味の単語が使われているそうです。勘違いしたのでしょうか?