オーストラリアで学ぶことの意味と誇りー大学の卒業式

先週の金曜日、サザンクロス大学の後輩Mちゃんから招待され、卒業式に出席してきました。
オーストラリアの大学は通常は3年の課程ですが、カレッジからのパスウェイや母国の大学のクレジットを使って2年で卒業する人もいます。日本と違って、学費も「年間いくら」ではなく科目毎なので、オーストラリア人の中には仕事や家事、インターンシップとの両立のため3年以上をかけて卒業する人も少なくありません(留学生はビザの条件上できませんが)。入学も学期毎にできるので、卒業式も年に数回行われます。つまり、一緒に頑張ってきた仲間が同時に卒業式を迎える訳ではなく、自分がやってきたことへの区切りという意味合いが強くなります。

サザンクロス大学の場合、卒業式に参加するには、最終学期の成績が出た後、いくつかある日程からどの卒業式に出席するのか自分で選んで登録しなければなりません。また、招待する人も3人まで(無料)と決まっており、事前に招待者の名前も登録する必要があります。(大学によって、「招待者へのチケットは有料」「○人まで無料でそれ以上は有料」など、条件は異なります。)

卒業式は約2時間。自分の卒業式の時もそうでしたが、オーストラリアの国家斉唱の瞬間が一番ウルウルきました。「言葉の壁、文化の壁を乗り越えて異国の地でやり遂げたんだ!」という思いがこみ上げてくるからです。

そして、卒業生全員が一人一人名前を呼ばれ、壇上で卒業証書を受け取り、学長と記念撮影をします。事前にリハーサルがあるわけでもないので、どのように振る舞うのかは前の人の見よう見まね…(汗)角帽と学部毎に色分けされたガウンを身にまとい壇上に立つ卒業生はみんな笑顔で、背筋も伸びていて誇らしげでした。
今回のゲストスピーカー、クィーンズランド州のイベント・マネジャーからは「学位は成功を保証するものではない。しかし、知識と技術の証明であり、これから志と情熱を持ってチャレンジしていくことで成功を手にすることができる。」という激励の言葉があり、この言葉は私にも響きました。

学長の祝辞では「テクノロジーの発達により国境を越えての取引が不可欠になっている時代。約40カ国からの留学生と共に学んだ君たちは国境を越えて関係を築き、それがいかに大切なことが理解しているはずだ。それは我が校の誇りであり、強みである。」という話がありました。私も大学生活で一番苦労したのは、実は英語ではなく、オーストラリアや一緒に学ぶ留学生たちの文化や習慣の違いでした。その過程を経て身につけた相手のことをどのように理解し、 お互いの妥協点を見つけていくのかという国際感覚は留学で手に入れた一番重要な、そして役に立つスキルと言っても過言ではないかもしれません。

今、様々な壁と向き合いながら頑張っている留学生の皆さん、様々な希望や不安を胸にこれからオーストラリアの大学を目指す皆さん、角帽とガウンに身を包んで卒業式を迎える時、そこにはきっと自分が思っていた以上の達成感があると思います。

私も、オーストラリアで学んだことの意味と誇りを再確認し、改めて背筋を正した一日でした。

天ヶ瀬 有美 / Yumi Amagase

会計業務などを担当しています。

日本の大学で経済学部を卒業後、金融関係の会社での勤務を経て、2012年にワーキングホリデーで渡豪。「1年しかないなら、やりたいことは全部やる!」を目標に、大自然の中でのローカルの仕事などを経験。翌年、就職活動で英語力を証明するためのIELTSを学びに語学学校へ入学し、卒業時にIELTS6.5を取得。もっと学びたいと、サザンクロス大学会計学修士課程(Master of Professional Accounting)へ進学。2015年11月に同大学を卒業し、現職。

趣味は旅行、散歩、カフェ巡り。これまでに23カ国を訪問。オーストラリアでもたくさんの都市に出かけました。オーストラリアで出会ったコーヒーも大好きです。