私の就職体験記-大型プロジェクト大波乱

オーストラリア留学後、某商社に入社。その時の就職体験を綴った、私の就職体験記。

元々は、英語を使ったお仕事とはどんなもの?、ということで書き始めたシリーズですが、だんだん新入社員って大変よ、といった内容になっているような気が・・・。

第1回目は、就職間もなくして私の身に降りかかった災難?「英語を使ったお仕事」
第2回目は、大失敗をして大赤字を出した「入社3ヵ月で始末書」
第3回目は、海外の人と仕事をするとは、を考えさせられた「品質問題に悩む」

そして、今回第4回目は、外国からのエンジニアと一緒に、日本のお客様のところへ向かうことになったお話。

入社半年も経った頃。

総合職の私は、物流と品質ばかりをやっていたわけではありません。新規製品開発に向けた打合せや営業活動も、先輩にお供してやっていました。

会議室
by Sig.

とある大型プロジェクトの新規商品開発の時。
製品のデザインや性能(スペック)をまとめる大詰めの段階。

海外の製品を製造する会社も気合いが入っており、日本にエンジニアのA氏とK氏の二人を出張させてきました。一緒に行動するのは、H先輩と私。連日、お客様のところへA氏とK氏を連れていき、打ち合わせの通訳に入ったり、話の内容をまとめたり、話に行き詰るとこちらから打開策のアイディア出しをしたり。

でも、よく考えてみて下さい。

A氏もK氏も、その製品のエンジニア。
お客様も皆、その道のプロのエンジニア。

H先輩と私、営業(-_-)

H先輩は経験が長いのでともかく、私みたいなド文系人間が、エンジニア同士の話にまともについていけるわけがありません。しかも、日本語だけ聞いていても意味不明なのに、英語も入り乱れるこの打合せ。

私にできるのは、せいぜい、H先輩とお客様が話をしている内容を、A氏とK氏に通訳するくらい。でも、わからない専門用語が多すぎるので、全てを英語にすることは不可能。そんな時はどうするか、H先輩の手法は、言葉が無理なら図と絵を駆使する、それをまねてがんばっていました。私も一応社会人として進歩はしていたのです。

1週間くらいほぼ毎日お客様のところに通い詰め、いよいよ製品スペック最終確定の超重要なその日。

事件は起こりました。

朝、A氏とK氏をホテルに迎えに行き、H先輩と待ち合わせをする某駅へ。でも、約束の時間になってもH先輩が現れない。携帯電話にもつながらない。会社のほうに電話をするも、誰も連絡を受けていないという。

これはおかしい・・・・

電車発車のぎりぎりの時間まで待つが、先輩に連絡がつかず。お客様との約束の時間もあるので、これ以上待てない!!

A氏とK氏には、「H先輩は多分後で来ると思う」という、あいまいなことを言って、電車に乗り込む。A氏とK氏は怪訝な顔。でも、内心自分が一番焦っているが、A氏とK氏の前でそれを出すわけにはいかない。

さてさてどうしよう、と思っていると、H先輩から電話が!
電車内にも関わらず、思わず電話に出てしまった(マナーは守りましょう!)。

H先輩「坂本君、すまん!!」

私「先輩どうしました!?もう僕たち、お客様のところへ向かっていますよ!!」

H先輩「いや、すまん、嫁が急に産気づいて、朝からばたばたと病院へ行ったり、でも下の子ども(当時H先輩にはすでに小さいお子さんがいた)のこともあったりで、連絡ができなかった。」

私「大変でしたね!!それで先輩はいつ・・・」

H先輩「というわけで、俺は今日行けないから、後はよろしく頼む!君ならできる!!」

私「えっ!?えっっっ!?」

ツーツーツーツー・・・・・( ゚Д゚)

「君ならできる」ってそんな何の根拠もない。
うちの部署の将来が左右される大型プロジェクトをまとめてこいとな!?
胸を張って言いたい「私、入社6ヶ月!!」

入社何ヶ月目だろうが何年目だろが、相手から見れば、「プロ」としての仕事を期待されます。
状況状況で対処しなければならないのがサラリーマン(サラリーマンだけじゃないか)。

一先ずA氏とK氏に状況を伝える。二人とも、「Oh, congratulation!!」と言っているけど、目が笑ってない~。でも、おそらくこの時、一番カラ笑いをしていたのは自分ではないかと思う。

正直、この後、客先で何を話し、どう話をまとめたのかはほとんど覚えていません。スペックの最終取り決めということで、エンジニアのマネージャーや購買のマネージャー含め、5人くらいのお客様を相手にしていた記憶があります。

変な汗をいっぱいかきました (;´Д`A

夜、A氏とK氏に、「Well done, Takeshi!!」と言われ、おいしいお酒を飲んだことは覚えているので、一先ず話は上手くまとまったんだと思います。

H先輩からも「坂本やるじゃないか」とお褒めの言葉を頂きました。

ビール
by uka0310

でも、恐ろしいのはこの後。

「じゃあ、このプロジェクト、後は全部坂本担当な。がんばれ。」と、なし崩し的に私をメイン担当にしてしまったのです。もしかして、H先輩はこれを最初から目論んでいたのでは( ̄□ ̄;)!?

スペックは合意したとはいえ、この先、状況に応じてスペック変更をしたり、海外での生産ラインをつくったり、コストの合意をしたり、販売計画を立てたりと、やることは盛りだくさん。この後、このプロジェクトで色々とトラブルが発生したり、九州へ飛んだり、中国へ飛んだりと、ものすごく感慨深い思い出ができるのですが、機会があればまたいずれ。。。

坂本 岳志 / Takeshi Sakamoto

オーストラリアのメルボルン在住。豪政府公認PIER教育カウンセラー(QEAC登録番号:H297)。日本の大学を卒業後、日常英語もままならないレベルから、メルボルン大学大学院進学を決意。卒業後は、日本の商社で海外取引に3年携わる。現職に就いたきっかけは、メルボルン大学と商社時代に感じた「危機感」でした。各国の優秀な人材が海外で経験を積み、どんどん活躍していく中、日本の縮小を実感し、何か自分が役に立つことができるのでは、という思いから留学業界へ転職。東京オフィス→パースオフィス→石川県でリモート勤務を経て、2021年2月よりメルボルンに戻り、主にオーストラリア全都市の大学・大学院進学希望者のカウンセリングとサポートを行っています。このカウンセラーに質問する