世界大学ランキングをどう読む?

タイムズ・ハイヤー・エデュケーションが2019年度の世界大学ランキングを発表しましたね!
先日、Yahooニュースのトップに出ていたので読んでいると、高校生の時の自分を思い出しました。

海外大学に進学する上で、単純に「いい大学に行きたい!」と思い、「いい大学=ランキング上位の大学」と捉えていました。そもそも、「いい大学」って何なのかという考えも無く、甘かったと今では思います…。

ランキングを見ていると「ここに名前が載っている大学に挑戦できるんだ!」という高揚感と、きっと家族も先生も喜んでくれるという期待感にワクワク、ドキドキしていました。


私がクイーンズランド大学への出願・進学を決めたのは、最後はランキングを第一に考えてのことではありませんでしたが(第一の理由はコース内容が一番面白そうだったから)、少なからず、私はこのランキングを気にして、出願する大学を決めていました。

「ランキング上位の大学=いい大学」はあながち間違いではありませんが、「ランキング上位の大学=あなたに合った1番の進学先」とは限らないと私は考えています。

私は今高校生の自分にアドバイスできるとしても、クイーンズランド大学は必ず勧めるけれど、「今ならもっと視野を広げて、他の大学やコースも一緒に考えてあげられるのになー」と思います。

出願・進学先を決める上で、ランキングを参考にすることは「あり」ですが、しっかりとそのランキングの意味や価値を読むことが大切です。

読み方①ランキングの出版元はどこ?
最近では、たくさんの世界大学ランキングが色んなウェブサイトで紹介されています。
その中でどれを参考にするべきか、と見定めるには、まず出版元をチェックしましょう。

・有名なものだと、
タイムズ・ハイヤー・エデュケーション (Time Higher Education)
出版元:イギリスのタイムズが新聞の付録冊子として毎年秋に発行している高等教育情報誌

クアクアレリ・シモンズ社 (QS:Quacquarelli Symonds)
出版元:イギリスのグローバル高等教育評価機関

 

・その他、私が見つけたのは、
The Center for World University Rankings (CWUR)
出版元:アラブ首長国連邦の高等教育や経済状況の調査を行う機関

Round University Rankings
出版元:ロシアの高等教育調査やコンサルティングを行う機関

国だけ比べてみても、出版元は大幅に異なりますね。
公平なランキング付けをしているとは言えど、一つ一つの調査は人間が行なっているので、ヒューマンエラーやバイアスが多少入っているのかも、と思いながら、いくつか出版元が異なるランキングを比べてみると良いでしょう。

読み方②そもそもランキングって何を基準に作られているのか?

タイムズ・ハイヤー・エデュケーション (Time Higher Education)を例に評価に至る方法論を確認してみましょう。

主に、5つのエリアを基準に評価をつけていくそうです。
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・30% Teaching (the learning environment) /教育環境:評判調査、学生と学校スタッフの割合、博士号と学士号の割合、博士号取得者と学校のアカデミックスタッフの割合、機関全体の総収入
・30% Research (volume, income and reputation)/リサーチ:評判調査、リサーチによる収入、リサーチによる生産率
・30% Citations (research influence)/引用:引用に使われている率
・7.5% International outlook (staff, students and research)/国際的であるか:現地学生と留学生の割合、現地スタッフと外国人スタッフの割合、国際共同研究の割合
・2.5% Industry income (knowledge transfer)/産業への協力:教育機関での研究や発見がどれだけ産業に還元されているか
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進学先を決断する上で、教育環境は注目したいところですが、評判調査はともかく、学生とスタッフの割合や収入でも評価されていますね。
リサーチと引用で高い評価を得るということは、それだけ最先端の研究を行い、最新情報を把握しているということです。それらを元に教授が授業を行なっているはずなので、より業界の理解を深め、その時点で世間の問題に一番効果的な解決法を導くことができます。

このようにランキングが何を基準に作られているかを知ることで、進学先を決めるのにこのランキングを参考にする必要があるのか考えるきっかけになるのではないでしょうか?
人それぞれ進学先に求めることは異なりますが、みなさんはどう思いますか?

私が世界大学ランキングをみて、疑問に思う点は2つです。
・大学には何十個ものコースがあるのに、このランキング一つで判断していいのか?自分の専攻分野は評価を得ているのか?
・卒業後の就職率は考慮されないのか?

読み方③学部やコース別のランキングは存在します。

例えば、観光・ホスピタリティの学部に特化したランキングはこちら。

ShanghaiRanking's Global Ranking of Academic Subjects 2018 - Hospitality & Tourism Management

Best hospitality and hotel management schools in the world for 2018 by CEOWORLD MAGAZINE

読み方④就職に強い、世界大学ランキングも存在します!
これは、私が高校生のときは参考にしなかったランキングでしたが、「見ておきたかった!」と思うランキングです。
大学では専門知識を身につけるだけではなく、社会人に向けてどのくらい雇用スキル(Employability) を養えるかはとても重要です。

QS Graduate Employability Rankings

現地の学生が対象の中心となりますが、オーストラリアの卒業生就職調査(Graduate Outcomes Survey)というものもあります。各大学を卒業後、短期間に雇用された割合や長期で正規雇用された割合などが確認できます。

2018 Graduate Outcomes Survey -Longitudinal 

「大学で質のいい教育を受けたい、勉強をがんばりたい、将来の就職先をしっかりと考えたい」と強く思う人ほど、ランキングを気にしてしまうのではないかと思います。

しかし、私が思うに、ランキングは確かに大学を選ぶ上で参考にはなりますが、「一つのランキングで上位だから」という理由を一番に考えて進学をしても、それが良い選択とは限りません。
評判が良いところに行けば良いというわけではなく、そこが「自分に合った進学先である」かどうかが大切です。

自分に合うかどうかというのは、ランキングだけでは見えてきませんね。
そこで参考にするべきなのは、過去・現在通っている学生の声やオーストラリアの教育機関をよく知る専門家からのアドバイスです。
体験談に目を通し、専門家である私たちにご相談くださいね!

皆さんにはランキング一つに惑わされず、「自分にとっての一番の進学先」を見つけて欲しいと私は心から願っています。

杉谷 茉由 / Mayu Sugitani

日本の高校にて国際バカロレア(IB)プログラムを受け資格を取得し、ブリスベンのThe University of Queenslandで3年間正規留学をしておりました。オーストラリアでの人と人との明るい接し方、多国籍であり、それを受け入れている環境に魅了されています。オーストラリアは初めてでも、日本人にとってはとても留学しやすく、生活に馴染みやすい留学先だと考えています。皆様にも人生で価値観のターニングポイントとなるような留学経験をしていただく為に寄り添ってお手伝いできたら幸いです。
※ゴールドコーストオフィススタッフとして2018年3月から2019年12月まで勤務(ブログはその当時の内容となっています)このカウンセラーに質問する