ありがとうで笑顔

オーストラリアに住んでいると、日本の便利さが改めて認識できます。

100円ショップやディスカウントストア、アイディアグッズの数々、食べ物はおいしいし、公共機関は時間通りだし、細やかなサービスも行き届いている。

出張で日本に戻る度に、「ああ、日本っていい国だなぁ」って思います。
到着後、ホテルにチェックにした後はコンビニに向かい、感動しています(笑)

でも、一方で日本に戻る度に「あれ?」と思うこともあります。

例えば、駅構内に貼ってあったベビーカーのポスター。

Shinjuku Station03
by nozawana

「赤ちゃんを守るのはみんなの思いやりです」と書いてあり、ベビーカーを持った母親のために道を開けている人が「お先にどうぞ」と言っている絵が描かれています。

一時、電車でのベビーカー利用の是非の議論が巻き起こっていましたが、「こんな風にポスターで呼びかけるんだ!」と、ちょっと驚きました。

あと、これはポスターの呼びかけそのものに関係ないですが、オーストラリアだったら、「お先にどうぞ」じゃなくて、「ベビーカーを電車に乗せるのを手伝う絵になるよなぁ~」とも思いました。

でも、子どもに挨拶をしただけで不審者として通報されかねない昨今、下手に知らない人の手助けをすると、不審者としてあらぬ疑いをかけられてしまうリスクもあるのかもしれません。そういえば、以前に、迷子の子どもを見かけたらどうするか、といったことで議論が盛り上がっていましたね。

もう1つ、例えば、建物に入る時等、隣にいた人が先に入れるよう譲ったり、扉を持ったりした場合、日本だと頭をぺこっと下げて通ったり、「ども」とか「ありがとう」とか言って通ります。

オーストリアで他人に何かを譲った場合は、目を合わせてにこっと笑って「Thank you」や「Ta (Thank youのくだけた表現)」と言うことが多いです。営業スマイルではなくて、とってもナチュラルな笑顔。

それに合わせてこっちも、「にこっ」と返す。油断していると、この「にこっ」が上手くいかず、顔がひきつって「にへっ」になることも時々あります。

Sweet Smiles
by Marcus Vegas

この「にこっ」は、自分の経験上、日本ではなかなかお目にかかれません。

統計を取ったわけではありませんが、女性の場合ちょっと驚いた感じで「ありがとうございます」と言う、男性の場合は、頭をぺこっと下げるか、「ども」と言う確立が高い気がします。「すみません」と言う人も多いです。

ましてや、こっちが「にこっ」と笑って「どうぞ」と言うと、「はぁ・・・」みたいな反応が返ってきます。自分の笑顔が修行不足?なのか不審者に見えるのか、そういった原因もあるのかもしれませんが、ちょっと悲しい。

通勤のバスの運転手も、「Hi」や「Good morning」と声をかけると、「にこっ」と笑って「G'day, mate」や「Hi」と返ってくる。朝の通勤バスなんかでこの「にこっ」に出会えると、1日が気持ちよくスタートできます。

日本のような細やかなサービスはないけれども、オーストラリアのいいところはたくさんあるので、ぜひ探してみて下さい。

坂本 岳志 / Takeshi Sakamoto

オーストラリアのメルボルン在住。豪政府公認PIER教育カウンセラー(QEAC登録番号:H297)。日本の大学を卒業後、日常英語もままならないレベルから、メルボルン大学大学院進学を決意。卒業後は、日本の商社で海外取引に3年携わる。現職に就いたきっかけは、メルボルン大学と商社時代に感じた「危機感」でした。各国の優秀な人材が海外で経験を積み、どんどん活躍していく中、日本の縮小を実感し、何か自分が役に立つことができるのでは、という思いから留学業界へ転職。東京オフィス→パースオフィス→石川県でリモート勤務を経て、2021年2月よりメルボルンに戻り、主にオーストラリア全都市の大学・大学院進学希望者のカウンセリングとサポートを行っています。このカウンセラーに質問する