オーストラリアの大学院でびっくり

私は日本の大学を卒業して、メルボルン大学の大学院へ進学しました。
そして、日本の大学との違いに衝撃を受けました。

その中でも特に、「学問への向き合い方」の違いにびっくり。

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オーストラリアでは、大学も大学院も基本的に1セメスターに4つの授業を受講します。そして、1科目につき、教授が講義をし多人数で受けるレクチャーと、ディスカッションやプレゼンを行う小集団クラス、チュートリアルの2部構成となっています。

日本の大学では1セメスターに10個以上受講することもあるので、「4つ」と聞くと、少なく感じるかもしれません。

実際に、学校へ行くのは週3日~4日になることもあり、学校へ行く日でも午後はフリーになることもあります。

でも、授業がスタートすると、(((゚A゚;)))な感じになります。

まず、とにかく読む量が膨大。

毎週毎週授業のトピックがあり、それに関連する読み物が指定されます。
テキストを使うこともあれば、科目指定の手作り論文集があったりします。

毎回レクチャーやチュートリアルで、さらりと、「次はこれについてやるから、読んできてね~♪」と言いますが、10ページ~20ページくらいある論文を4つとか5つとか。

例えば10ページの論文4つ。
それが4科目。

10ページ x 4つ x 4科目 = 160ページ

1週間で160ページなら大したことない、と思うかもしれませんが、毎週続くときつくなることもあります(´+д+)

これだけではありません。

チュートリアルでは、プレゼンテーションの順番が少なくとも1回は回ってきます。

基本的に、その週のトピックに沿ったものでプレゼンをするので、指定された論文を読みこなしてプレゼンをつくればよいのですが、それだけでは背景知識が不足します。なので、さらに文献にあたらなければなりません。

時々いるんです、その分野に関して「超」がつくマニアックな方が。
おそらく、日本語で聞いても何を言われているのかわからないような質問を投げかけてきます。

そして、極めつけは、エッセイ(日本風に言えばレポート)。

Essays!!
by Kelly Teague

私が受講していたコースでは、1セメスターで約4,000文字のエッセイを書かなければなりませんでした。課題の出し方は授業によって様々ですが、中間で2,000文字、期末で2,000文字のエッセイになることもあれば、500文字-500文字-3,000文字、と小出しになることもあります。

4,000文字 x 4科目 = 16,000文字

16,000文字なら日本の大学の卒業論文くらいか、となりますが、エッセイを書くのはもちろん「英語」。英単語一つにつき、日本語では少なくみても平均的に3~4文字くらいになるかと思います。

16,000文字 x 3文字 = 48,000文字

大学院ではなく大学でも、1セメスター3,000文字が設定されていたので、3,000文字 x 4科目 x 3文字 = 36,000文字。

自分が日本の大学の卒論で書いたのは、22,000文字。

その2倍以上っすか。。。しかも、卒論は1年かけて書き上げます。
オーストラリアの大学では、半年ごと(正確には授業期間中4ヵ月の間)に書きあげます。

エッセイの課題は、3~4週間前に出ることもあれば、1週間前とびっくりなこともありますΣ(゚Д゚,,)

私が日本の大学を卒業したのは10年前のことなので、今は変わっているかもしれませんが、レポートの課題があると、前日取りかかりでなんとか提出、ということをよくしていました。でも、メルボルン大学在学中は、前日に取りかかると確実に提出が間に合わない。

そして、日本よりも盗作・盗用(いわゆるコピペ)には厳しい。
引用をうっかり忘れていた、は通用しません。
Plagiarism(プレジャリズム:盗作・盗用)は大学ではよく聞く英単語です。

人によってやり方は様々だと思いますが、私の場合、3,000文字のエッセイを書くために、20個以上の参考文献を使いました。

でも、実際にエッセイを書く時は、その倍以上の文献を参考にしています。ただ、本文に引用していないだけ。エッセイトピックに関連する文献を読み、そこで引用されている文献等、参考になりそうなものがあれば、さらにそれを読みこなしていく。中には直接エッセイトピックには関係なく使えない、使わないものも出てくる。

そして、3,000文字のエッセイを書くために絞り込んだのが20個の文献。

毎週の指定論文を読みこなし、プレゼンの週にはプレゼンの準備をし、そして、同時に課題で出ているエッセイを書く。

これはなかなか大変です。
期末のシーズンになると、24時間図書館にこもる人も出てきます。
ただ、メルボルン大学の図書館には、マンガや日本の雑誌が置いてあるので誘惑に注意。

オーストラリアの大学・大学院の勉強は大変です。
海外の大学は入るのは簡単だけど、卒業は難しいとはよく言われます。
これが世界の大学ではスタンダードと言えます。

つらいこともありますが、それと同じくらい楽しいことがあります。そして、きつくてもがんばって乗り越えていけば、間違いなく自分の力にもなり自信にもなります。

その分野の知識や英語力はもちろん、膨大な量のワークをこなしたり、プレッシャーがかかる状況を乗り切ったり、何かを調べる、協働で作業をするといった、今後の社会生活において役立つ力が身に付きます。そして、何より、やり遂げた達成感、そして、一緒に苦しみや楽しみを分かち合ってきた、一生付き合える仲間ができます( ゚∀゚)ノ

これから活躍の場をアジアや世界でお考えの方は、ぜひ、オーストラリアの大学・大学院進学にチャレンジして下さい!!(前回のブログ「アジアを目指すならオーストラリアへ」もご参照ください)。

弊社ではメルボルン大学を始め、大学や大学院進学の相談やお手続きも承っていますので、お気軽にご相談下さい。

Lecture Room

坂本 岳志 / Takeshi Sakamoto

オーストラリアのメルボルン在住。豪政府公認PIER教育カウンセラー(QEAC登録番号:H297)。日本の大学を卒業後、日常英語もままならないレベルから、メルボルン大学大学院進学を決意。卒業後は、日本の商社で海外取引に3年携わる。現職に就いたきっかけは、メルボルン大学と商社時代に感じた「危機感」でした。各国の優秀な人材が海外で経験を積み、どんどん活躍していく中、日本の縮小を実感し、何か自分が役に立つことができるのでは、という思いから留学業界へ転職。東京オフィス→パースオフィス→石川県でリモート勤務を経て、2021年2月よりメルボルンに戻り、主にオーストラリア全都市の大学・大学院進学希望者のカウンセリングとサポートを行っています。このカウンセラーに質問する