持っているとお得!交渉スキル。

日々の相談の中でよくあるのが、オージーとの交渉(いわゆる日本のクレーム)に関すること。聞いていると日本人は交渉スキルが低いなと思います。

日本から来たばかりの学生さんは、日本の「普通は」「常識では」で話をして、うまく交渉できず最後は自分が切れてしまって交渉炸裂。もしくはどうやっていいのかわからないので言わずに諦める。などのパターンに陥りがちです。海外ではどうやって交渉をすると自分の要望が通りやすくなるのでしょうか?!

私が「交渉をする」ということを意識をしていなかった学生ビザの頃、こんな出来事がありました。

オランダ人と日本人の友達3人でチェーン店のマフィンやさんに行った時、ひどくまずいマフィンに当たりました。「絶対おかしい、マズい!」とオランダ人。「確かにまずい!でも、これが店の味と言われれえばそれだけかも。。。」と対決を避けようとする日本人。そんな中オランダの友達は何やらカウンターに話しに行きました。クレームが来たと思うとまずは防衛体制に入るオージーですからどうなるのかなと見守っていたところ、初めは真顔だった店員さんが次第に笑い始め、最後は楽しそうに10個のマフィンを彼に手渡しているではありませんか?!

大量のマフィンをもらって幸せ顔の友達に何を言ったのか聞いたところ、「自分はここのマフィンチェーン店の大ファンでいつも同じのを食べてる。すごく美味しいんだ。だけど、今日はちょっと違う気がするから伝えに来た。多分シェフが砂糖を入れ忘れちゃったのかも。」と伝えたそうです。そこで、喜んでくれた店員さんとマフィンの話で盛り上がり、最後には「残念な思いをして帰ってほしくないので、帳消しになるように」といろんな種類のマフィンをくれたそうです。彼いわく「ヨーロッパではこんなことよくある事。だからどうしたら自分の要求が通るか交渉するスキルが身に付いてるんだよ。」と言っていました。
考えてみると日本では(交渉ではなく)クレームすると、相手がすぐに謝ってくれて返品や交換も相手から申し出てくれたりするので、お客さん側の交渉スキルはあまり磨かれないわけですよね。

改めて周りを見ていると、オージーは大きな声で怒ってる人って確かにいない(地声が大きいですけど)。交渉なので冷静です。内容を聞いていると、どうしたら相手が動いてくれるか納得してくれるか、言い方や伝え方を工夫してお互いがハッピーになるように考えて交渉しています。そして、相手の言っていることも一理ある、自分の要求が理に叶ってないなという時は、潔くあきらめて先に進んでいますね。引き際も心得ています。

オーストラリアでは英語力はそれほど高くなくても、交渉術を身に着けていると、もっと楽に生活できて、海外でもストレスを減らすことができるだろうなと思います。今後の生活でも役立ちますし、みなさんも渡航前に日本でちょっと意識をしてみて、オーストラリアで交渉のチャンスが来たら是非チャレンジしてみてくださいね。

鐵見 尚美 / Naomi Tetsumi

オーストラリア、シドニー在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 G176)。20代半ば、ワーキングホリデーでオーストラリアに。アデレード、パース、シドニーなどに滞在しながらラウンドする。しかし、思うほど英語力がつかなかったことから、その後ゴールドコーストで語学学校に通い直し、ようやく英語を話せる楽しさを知る。帰国後、海外で得られる経験をより多くの人に、と留学会社に就職。2007年、当時の勤務先のシドニーオフィス立ち上げのためビジネスビザで渡航し、2010年永住権取得。現在はオーストラリア留学センターのシドニーオフィスの留学カウンセラーとして、カウンセリングや現地サポートを行う。このカウンセラーに質問する