中東情勢とオーストラリア留学・ワーホリへの影響と対策

中東情勢の緊迫化により、オーストラリアでもガソリン代の高騰や物流への影響が出始めています。これから渡航するワーキングホリデーの方や留学生が、今何を準備すべきことをご案内します。

ホルムズ海峡封鎖でまず生活者に大きく影響するのはガソリン価格。

日本は政府補助金で抑えられていますが、私の住むメルボルンでは、A$2.30を上回っており、場所によってはA$2.50以上、特に地方(リージョナル)ではA$3.00に届くところも。3月20日、NSWでは42のガソリンスタンドでガソリン切れになっていました。

資源大国と言われるオーストラリアですが、実は石油の埋蔵量は少なく、おおよそ90%を主にアジア諸国で精製されたものを輸入しています。

先日の発表では、オーストラリアの燃料備蓄はこちらのようになります。

・ガソリンは約38日分
・ディーゼルや航空燃料は約30日分

もちろんオーストラリア政府も傍観しているだけではなく、Fuel Taskforceを立ち上げたり、日本含めた各国と協議したりと対応を急いでいます。

オーストラリアの状況

長引けば長引くほどガソリンだけではなく、各所に影響が出てくるかもしれません。留学生やワーホリの方が影響を受けそうなニュースをピックアップしますが、あくまでも、事態が長期化した場合の予想であることを念頭にご覧ください。

●農場では、ディーゼルの高騰・不足で、トラクターなどの農業用機械が動かせなくなり、適切な時期に収穫や作付けができない恐れ

ファームジョブでセカンド・サードを狙っている方は、「仕事がある」と言われて行ってみたものの、燃料不足で実稼働日が少なくなる、あるいは仕事がない、と言われることも出てくるかもしれません。

●燃料不足と高騰で、農場などから品物を運べなくなる等、物流に影響が出る恐れ

Panic Buy(買いだめ)も影響して現在も一部地域では、品薄になっているところもあるようですが、状況が長引くと全体的にスーパーが品薄、そして値段も高くなるかもしれません。

●ディーゼル不足で建築業界も重機の稼働が難しくなり、住まい不足もある中、住居建築が全体的に遅れる恐れ

住まいが不足気味で、オーストラリア政府は2024年から5年計画で120万戸の住宅提供を目標にしていますが、計画通り進まないかもしれません。建築業界全体の問題なので、留学生も学生用アパートや学生寮の建設の遅れ、そして、家賃の値上がり、といった影響が出てくるかもしれません。

●マイニング(鉱山)も燃料不足で、従業員を一時的に待機させる会社も

最近、高給与ということもあり、ワーホリでマイニングジョブにチャレンジする方も増えていました。ただ、マイニングも燃料不足で通常よりも稼働を抑えることも出てきており、これまでのように仕事が見つからなくなるかもしれません。

●ホスピタリティ・ツーリズムへの影響も出てくるかも

航空券も値上げやガソリン価格高騰で、ホスピタリティや観光産業にも影響が出てくるかもしれません。そうなると気になるのは、ホスピタリティ・ツーリズム分野でのセカンド・サードワーホリの取得。

最近ワーホリで来た方は背景を知らない人も多いと思いますが、ホスピタリティ・ツーリズムは、元々セカンド・サード対象分野ではありませんでした。コロナ後の人手不足に対応するために、2021年6月より対象になっています。

観光客が減ると当然雇用も減るので、状況次第では政府がホスピタリティ・ツーリズムはセカンド・サード対象から外します、とアナウンスが出るかもしれません(あくまでも、そういった可能性もゼロではない、という話です)。

ワーホリ・留学生が準備すべきこと

この状況が一時的なものなのか、まだ長引くかによっても対応方法は変わると思いますが、現在オーストラリアにいる方、これからオーストラリアに来る方へのアドバイスは4つあります。

1. 資金計画の再考

まずはワーホリ・留学資金をしっかりと準備することが重要です。

今はSNSで情報収集をする方も多くいると思いますが、特にワーホリ系で「来ればなんとかなる!」「英語力、資金がなくても大丈夫!」みたいな情報発信が多くあります(資金に関しては、一応A$5,000+航空券の費用の準備ができていることがビザ取得の条件です)。

そういった側面もあるといえばありますが、特に今の時期、勢いで来たものの、物価高くなり、英語もわからず、仕事も見つからず、生活が立ち行かなくなる可能性もあります。

2. 仕事選びの「プランB」を持つ

ファームやマイニングに絞らず、都市部での仕事や、燃料依存度の低い職種も視野に入れた履歴書作成を渡航前から意識しておくと、現地に来た時に動きやすいです。

3. 英語の勉強をする

オーストラリアではまず何か情報を出るときは英語です。日々の生活の状況、ファームやマイニングの状況、政府発表を判断するために、英語をしっかりと勉強しておくことが重要です。

メールや政府発表等の情報の確認であれば今はAIや翻訳機能を使って日本語にして閲覧することも可能ですが、実際に仕事を探す、仕事をする、となると、英語力は高い方が有利になります。

今の状況的に、全体的に仕事を探すことが難しくなったり、人員削減の影響を受ける可能性も出てくるので、語学学校等で英語力はしっかりと身に着けておいてください(ワーホリの方は、英語力をある程度身に着けて、オーストラリアの語学学校でケンブリッジコースを受けることがおすすめです)。

4. 飛び交う情報に惑わされない

コロナ禍でもそうでしたが、こういった混沌とした状況下では真偽不明の情報も多く飛び交います。特にSNSでは、注目を浴びようと、過激だったり、大げさに煽るような情報も多くあります。

まずは、必ず一次情報を確認するようにしてください。

そして、SNSで情報を見る場合、情報がいつの時点で発信されたものか、どういったバックグラウンドの方の発信なのかも確認をしてください。特にコロナ後、オーストラリアの状況は目まぐるしく変わっており、1年前の情報はもう通じない、ということはよくあります。

オーストラリアは資源国でありながら、石油精製を海外に依存しているという特異な状況にあります。しかし、こうした危機の中でも、正しい情報を持ち、準備ができている人はチャンスを掴むことができます。

しっかりと準備をして、ぜひワーホリや留学を楽しんでください!

参考ソース
オーストラリア移民局 セカンド・サードの指定ジョブと場所
COVID 2.0? Industry group demands fuel carve-out, warning new builds at risk
Fuel crisis forces WA resources company Blue Cap Mining to send workers home
PM announces new fuel supply taskforce as price-gouging investigation launched
Why the Middle East war matters more to Australia than it seems

坂本 岳志 / Takeshi Sakamoto

オーストラリアのメルボルン在住。豪政府公認PIER教育カウンセラー(QEAC登録番号:H297)。日本の大学を卒業後、日常英語もままならないレベルから、メルボルン大学大学院進学を決意。卒業後は、日本の商社で海外取引に3年携わる。現職に就いたきっかけは、メルボルン大学と商社時代に感じた「危機感」でした。各国の優秀な人材が海外で経験を積み、どんどん活躍していく中、日本の縮小を実感し、何か自分が役に立つことができるのでは、という思いから留学業界へ転職。東京オフィス→パースオフィス→石川県でリモート勤務を経て、2021年2月よりメルボルンに戻り、主にオーストラリア全都市の大学・大学院進学希望者のカウンセリングとサポートを行っています。このカウンセラーに質問する