
留学が決まったみなさんは、今新しい生活に向けてワクワクしながら、いろいろな準備を進めていると思います。そんなみなさんにぜひ準備してほしいのが、「中学時代のプレイリスト」。
好きなアーティストの曲や最近のお気に入りの曲も良いけれど、留学中のあなたを支えてくれるのは、意外にも中学時代に聴いていたあの曲たちかもしれません。実は、「中学時代の音楽」には、あなたのメンタルヘルスを強力にサポートする、ある科学的な理由があるのです。
それは「ノスタルジア効果」と呼ばれるもの。ノスタルジアとは過去を懐かしむ感情のこと。この感情を経験することで、未来に対してよりポジティブな気持ちになることが研究者から報告をされています。
この感情が、孤独感の軽減、人とのつながりの強化、自己肯定感の向上を引き出し、全体的な幸福感の向上といった、ポジティブな心理的効果をもたらすことが研究で明らかにされていました。
特に、思春期(一般的に12歳〜22歳頃)、中でも中学時代に聴いていた音楽は、このノスタルジア効果を強く引き起こすことが知られています。
自己のアイデンティティを確立し、感情処理や記憶形成に関わる脳の領域が急速に発達するこの多感な時期に聴いた音楽は、単なるメロディーとしてではなく、その時の感情や多くの初めての経験と強く結びついて、脳の神経経路に深く刻み込まれるとされています。
これは「レミニセンス・バンプ(回想の隆起)」と呼ばれる記憶の仕組みによるもので、多くの研究で、その記憶のピークが14歳頃にあるとされていました。
振り返ってみると、確かに私も、ひどく落ち込んだりプレッシャーを感じたときは、10代前半に好きだった曲を聴いていると、だんだん気持ちが軽くなり「まあ、なんとかなるか」と、すっかり元気になることは何度もありました。これはノスタルジア効果のおかげだったのですね!
みなさんも留学中、もしこんなふうに感じることがあったら、ぜひ「中学時代のプレイリストを試しててみください!

・プレッシャーに負けそうなとき
勉強のプレッシャーや英語の環境で自分の力がうまく出せないとき、新しい友だちづくりなど、不安やプレッシャーが大きいときに「中学時代のプレイリスト」を聴いてみてください。懐かしい感情によって「幸福ホルモン」が活性化されることで、ストレスや不安が軽減、さらに、ストレスホルモンも低下させることができ、幸福感が高まります!
・ストレス解消したいとき
少しずつ溜まってくるストレスで「なんとなく気持ちが落ち込んでいるな」というときにも「中学時代のプレイリスト」がオススメ。音楽を聴きながら心地よい懐かしさに浸ることで、心が癒やされ、徐々に気持ちが軽くなっていくのを感じられますよ。
・モチベーション向上したいとき
たくさんのやらないといけないことがあって、モチベーションが下がっているときにも「中学時代のプレイリスト」はピッタリです。
プレイリストの音楽には、過去に頑張っていた自分、友達と楽しんでいたときの自分など、ポジティブな自己像が投影されていることが多いため、そのことを思い出すことで自己肯定感を高め、前向きな気持ちを取り戻すことができるとのこと。このリストを聴きながら青空の下をお散歩をすれば、モチベーション復活間違いなしです。
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留学中には、新しい生活環境、新しい学び、新しい友だちなど、楽しいこともたくさんある代わりに、ハードな勉強、異文化への戸惑い、自分でやらなくてはいけないたくさんのこと、そして時には孤独感など、様々なプレッシャーやストレスもやってきます。
そんな時、この「中学時代のプレイリスト」が、心を落ち着かせ、前向きな気持ちにしてくれる「お守り」として活躍してくれるはず。いざというときにすぐに使えるよう、留学前に、スマホや音楽アプリにプレイリストとして保存しておいてくださいね。
[参照論文:ノスタルジアが時間的態度に与える影響 長峯聖人・外山美樹 (2019) 教育心理学研究]