シドニーで見つけた「街づくり×教育」の形

出典:Sydney Metro(https://www.sydneymetro.info/gallery)

現在着々と開通範囲を広げているシドニーメトロ。
「2030年代初頭までに、4つのメトロ路線46の駅、合計113kmの新しい鉄道網を完成させる」という目標を掲げており、現在のところ「Northwest」と「City & Southwest(一部)」が運行しており、プランの半分ほどが完成。

「Southwest」の残りのエリアと「Western Sydney Airport」は、2026年末までの運行スタートに向けて、試運転などが進められています。

*詳しい最新の路線図は、Sydney Metro公式インタラクティブマップをご確認ください。

このシドニー・メトロについて、最初は「便利でクリーンな地下鉄が出来るのは嬉しい!」と思ってサイトをみていくうちに、気になることがでてきました。それは、このインフラ建設が小学生から高校生までを巻き込む「教育プログラム」として活かされていることです。

NSWでは「FastTracking the Future」という教育プログラムをつくり、学校と連携してインフラ建設という巨大な都市計画に、子どもたちが『当事者』として参画できるチャンスを提供。それが、彼らの将来の選択肢を広げ、STEAM教育にインパクトを与えているとのこと。

出典:Sydney Metro

例えば、

・小学生の子どもたちがロボットを使って、無人運転メトロの仕組みをプログラミングで学ぶワークショップ(Fun with Robots)

・高校生がメトロの抱える実際の問題(環境への配慮やデザインなど)に対して、専門家と一緒に解決策を考えるコンペティション(Metro Minds STEAM Challenge)

・学生が建設現場を見学し、現役のエンジニアやプロジェクトマネージャーから「どうやって未来の街を作るのか」を直接聞く機会

などなど、さまざまです。STEAMチャレンジの最終選考では、先生や教育機関の方たちではなく、「シドニーメトロのプロジェクト・ディレクター(建設総責任者)」など、現役のプロに自分たちのアイディアをプレゼンするなど、なかなか本格的で現実とのつながりが見えるプログラムです。

日本の学校でも社会科見学などはあったと思いますが、多くは出来上がったものを見に行ったり、体験できるものが中心だという点を考えると、日本とオーストラリアの教育スタイルの違いが見えて興味深いです。

実際、こんなふうにインフラづくりに参画できたら、自分の街でどんなものがつくられているかが理解しやすくなるだろうし、さまざまなイベントやプロジェクトに参加することで、その出来事や今学校で学んでいることへの興味が湧いてきますよね。それが将来のキャリアに繋がったり、「自分たちも一緒に作った街」というコミュニティの愛着につながるだろうなと考えると、日本でもこういう面白いチャンスがもっとあると素敵だなと思います。


出典:Sydney Metro (Metro Minds STEAM Challenge)

鐵見 尚美 / Naomi Tetsumi

オーストラリア、シドニー在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 G176)。20代半ば、ワーキングホリデーでオーストラリアに。アデレード、パース、シドニーなどに滞在しながらラウンドする。しかし、思うほど英語力がつかなかったことから、その後ゴールドコーストで語学学校に通い直し、ようやく英語を話せる楽しさを知る。帰国後、海外で得られる経験をより多くの人に、と留学会社に就職。2007年、当時の勤務先のシドニーオフィス立ち上げのためビジネスビザで渡航し、2010年永住権取得。現在はオーストラリア留学センターのシドニーオフィスの留学カウンセラーとして、カウンセリングや現地サポートを行う。このカウンセラーに質問する