英語を学ぶなら日本語を勉強しよう

私は言語学者でもなければ、英語を教えるのプロでもないのですが、日本語力がある人は英語も上手くなるように思います。

ずっと海外で暮らしていた人は別にして、普通は第二外国語は母国語を超えることはない、と言われています。この考えに従えば、英語だけをがんばったとしても、日本語能力もアップさせないことには、英語は上達しない、となります。

言語能力の発展についてはいくつか考え方があるのですが、こちらの図をご覧下さい。

言語モデル1

これは言語を能力を図式化したものなのですが、表層部と深層部に分かれています。表層部は、読み、書き、話し、聞く、といった、日常的に目に見える能力を表しています。

一方で深層部では、言語生活を支える層で、基底能力と呼ばれます。これは、普段はそれほど使いませんが、簡単にいえば「知っている」「理解できる」言葉です。

例えば、語彙を例にとると「初詣」や「奉納」といった言葉は、は日常生活の中で使わないけど、誰もが知っている言葉です。普段自分で使うことがないけど、あるいは使う自信のない単語であっても、いつでも理解したり引き合いに出せる能力が、基底能力です。そして、表層部は基底能力の大きさに比例するので、基底能力が大きければ大きいほど、表層部の発達度合いも大きくなります。

では、バイリンガルの人の言語能力の発達はどのようなものになるかといいますと、それを表したものがこちらの図です。

言語モデル2

バイリンガルの人は、表層部に2つの山があります。表層部は分かれていますが、深層部では分かれておらず、共通基底能力として一体化しています。なお、表層部の山の大きさはきれいに同じではなく、言語の発展段階によって、母国語は大きく、第二言語は小さくなったりします。

これは言語能力発展の一つの理論で、他にも考え方はあるので、正しいか正しくないかは自分にはわかりません。

でも、確かに、自分の留学中に色々な人と出会いましたが、日本人だけではなく他の国の人も、母国語の能力が高い人は、英語力もしっかり身についていたように思います。

英語をすぐに身につけたい人には遠回りな方法かもしれませんが、英語を学びたい!と思ったら、新聞や本とかで日本語にも触れて、日本語能力をアップさせると、しっかりとした英語が身につくかもしれません。

余談ですが、最近日本でも小さい頃から英語英語、と言われていますが、日本語もしっかりと学ばないと、将来的にはその子どもが困るのではないかと思う今日この頃です。。。

*今回紹介しました言語能力発達の考え方はあくまでも一つの理論ですので、参考としてご覧下さい。

参考文献:「英語教育はなぜ間違うのか」山田雄一郎著

坂本 岳志 / Takeshi Sakamoto

オーストラリアのメルボルン在住。豪政府公認PIER教育カウンセラー(QEAC登録番号:H297)。日本の大学を卒業後、日常英語もままならないレベルから、メルボルン大学大学院進学を決意。卒業後は、日本の商社で海外取引に3年携わる。現職に就いたきっかけは、メルボルン大学と商社時代に感じた「危機感」でした。各国の優秀な人材が海外で経験を積み、どんどん活躍していく中、日本の縮小を実感し、何か自分が役に立つことができるのでは、という思いから留学業界へ転職。東京オフィス→パースオフィス→石川県でリモート勤務を経て、2021年2月よりメルボルンに戻り、主にオーストラリア全都市の大学・大学院進学希望者のカウンセリングとサポートを行っています。このカウンセラーに質問する