選択が苦手な方へ

先日日本に帰った時に本屋さんに行くと、多くの心理学、ストレス解消の為の本が平積みになっていました。日本では本当に「ストレス」についての関心が高くなっている事を改めて実感したので、一つ心療内科の先生が書いた本を読んでみました。その中で是非選択が苦手な方へご案内したい内容があったので、ご紹介します!

5 Questions to Make a Decision
by InaFrenzy


『欲少知足』

「欲を少なくして、足るを知る。」と言う事です。

いきなりなかなか厳しい一言でしたが、私も思い当たる事がありました。

私のお買い物は基本的に即決派なのですが、しつこく悩んで決められない時があります。それは多くの場合、予算がタイトか、予算の高いものの場合です。自分の中で出来るだけお得感のあるものが欲しいと思っている為、やたらいろいろな可能性を混ぜてしまい、逆に決められなくなってしまうのです。

例えば「今年は脱いだり履いたりが便利なブラウンのショートブーツを買おう。黒はもってるしね。」と思ってショッピングに行きます。即決できるほどパーフェクトなものはないけれど、それなりに自分の好みや用途に沿っているものはいくつかある。その中から一つを選ばなくてはなりません。そんな時、本当はブラウンのショートブーツを買いに行ったはずなのに、すごく好みの黒いブーツがあったら、「黒だったら自分の持っている多くの洋服にもあわせられる」とか、ブラウンでも「今年は寒いからロングブーツの方が役に立つかも」など、要求を広げる事で更に選択肢を広くし、最終的には選べなくなり、時間ばかりかかって時期を逃しているうちに気に入るものは売れてしまった、値上げしてしまった・・・そしてまあまあのもので妥協、高い値段で購入という逆の結果を招く事になります。

この状況、選択が苦手な方には良くあるパターンかと思います。

考えてみると生徒さんからの相談の中にも選択が出来ない方が迷宮入りする状況がありました。

①学校選び
②シェア探し

最大の難関は学校選び。多くの方が悩みます。希望はもちろん伝えて頂く事が必要ですし、最初の数校までしぼるのにはある程度しっかり検討して頂く必要がありますが、ここで選択の苦手な方はブーツの例の様に選択肢を広げ、最終的には奨学金が終了してしまったり、満席で受講できないという事になってしまいます。

シェア探しでも同じです。安い家賃で一人部屋、シティにも近い交通費のかからないところでオージーとすみたいです。。。簡単には見つかりませんね。アコモデーションも家賃とローカル環境の両方を手に入れようとすると選べなくなる典型的な事例です。この場合も、選びすぎるとずっとバックパッカーズから出れず家賃が高くなる、日本人ばかりの環境で生活をし、なんでオーストラリアにいるのだろうと悩む、と言う事になります。

では、選択が早い方はどんな風に進んでいるか?

驚くほど決断の早い方は、最初にご自身の希望をいくつかあげ、私たち(もしくは専門家)にアドバイスを求めます。どんな学校がお薦めか、こんな生活をするにはどんな場所やどこで家を探したら良いかなどまず選択肢の幅を狭め、残りの2、3をじっくり検討します。そして、その中で一番希望するものをまず選びます。よけいな選択肢は考慮せず重要な部分で選択をします。その後まずはそこで試してみて、自分が思うような事が出来ない場合は、変更が出来るか確認し、出来ない場合は自分のしたい事が出来る様、もしくは自分が満足出来る状況に現状を変える努力をしています。
ここが大きな違いかと思います。

努力は意識すれば選択が苦手な方でも出来ると思いますが、選択が早い方と言うのは選択したものに関してダメだったと思うのではなく、選択した自分に責任を持ち、それを自分の満足行く方向に努力する事が出来る事を知っている、と言うところだと思います。だから選択がそこまで重くないのですね。そして、そういう方は最終的にうまく行かなくても、この経験を次回の選択に活かす事が出来たりします。

選択が早くできる人と言うのは、選択をした事により自分が欲しいものや状況に向かって具体的に動く事が出来るので結果が出るのも早いですが、違ったと思えば変更をする事も出来るのでフレキシブルでこの意味でも結果は出やすいのかと思います。選択に時間をかけなくても結果は出ているわけですね。

選択の際に思い出して頂きたいのは、「何が自分に取って一番重要か」です。選択が苦手な方に取って選ぶのはある意味勇気が必要ですが、一度選んでしまえば状況が進みますので次のステップに進みます。選択が出来ない人は同じ場所で実際にやりたい事、欲しいものではない事で悩んでしまうので、結果が出にくい状況を生み同じところから動けません。誰だって欲しいものや結果は手に入れたいですものね。

是非皆さんも選択の場面になったら、「何が一番重要か」に集中し、是非目的のものを手に入れてくださいね!

鐵見 尚美 / Naomi Tetsumi

オーストラリア、シドニー在住。豪政府認定教育エージェントカウンセラー(QEAC登録番号 G176)。20代半ば、ワーキングホリデーでオーストラリアに。アデレード、パース、シドニーなどに滞在しながらラウンドする。しかし、思うほど英語力がつかなかったことから、その後ゴールドコーストで語学学校に通い直し、ようやく英語を話せる楽しさを知る。帰国後、海外で得られる経験をより多くの人に、と留学会社に就職。2007年、当時の勤務先のシドニーオフィス立ち上げのためビジネスビザで渡航し、2010年永住権取得。現在はオーストラリア留学センターのシドニーオフィスの留学カウンセラーとして、カウンセリングや現地サポートを行う。このカウンセラーに質問する