
こんにちは、シドニー支店の鐵見(てつみ)です。
シドニーは夏の暑い日が増えてきて、楽しい気分がだんだん盛り上がってきています。
そんな初夏のある日、久しぶりにNSW州立美術館(AGNSW)に行ってきました!

現在、AGNSWの企画展では、Arthur Streeton展(正しくは、”Streeton”)が開催されているのですが、彼のことはご存知でしょうか??
彼はオーストラリアの印象派、風景画家で、各州の州立美術館であればおおよそ彼の絵を見ることができるというほど有名な画家です。
今は海外の画家の方の作品を借りてくることが厳しかったのか、たまたま国内画家の企画展を練っていたのかわかりませんが、彼の作品をシドニーで一度に鑑賞できるチャンスはなかなかありません。しかも企画展であれば、Private Collectionも期待できます。私も彼の作品がとても好きなので、開催を楽しみに待っていました。

Arthur Streetonは、1864年生まれのヴィクトリア州出身です。そのため、ヴィクトリア州の風景が描かれた絵が多くあります。




彼は1890年に初めてシドニーに旅行をしたのですが、その美しさに心を打たれて、彼の生涯で何度もシドニーに訪れ、創作活動をしています。
彼の絵を通して、昔のシドニーの美しいビーチの様子や街並みも見れますし、歴史的建造物に対する気持ちもくすぐられます。
現存の建物は今一度見てみたい気持ちになりますし、今はない建物はいつ変わったのか、昔走っていたトラムはどんな景色を見ていたのかなどなど、様々な好奇心を刺激してくれます。



Town Hall and domes of the market 1921(Estate of Murdoch-Johnson)
彼は30代〜40代の間にヨーロッパとエジプトを旅行しているのですが、カイロでは、その独特な色使いや建物に影響を受け、滞在を予定より長くしたようです。
私はこの時期の絵も好きなのですが、いくつになっても旅行や異文化に触れる経験は、人に何か刺激をを与えるのだなと、そして、外に出ていくのは大切だなと思いました。

Cairo street 1897(NGA)
彼は風景画家ですし、戸外主義でもあったので、とてもたくさんの木(特にユーカリ)を書いています。
今回の企画展で初めて知ったのですが、彼はオーストラリアの自然をとても愛していたので、1920年代半ばから木や自然が破壊されていくことを気にしていたそうです。
100年前、既に環境問題を提起していたなんて!そのため、彼は人々が自然破壊について考える機会を与えるための絵も、いくつか発表しています。

オーストラリアの木がなくなっていくことを、彼が問題にし始めてから100年。今は木どのくらい減って、またそれはどのくらい戻ったのでしょうか?これについてはまた、調べてみたいと思っています。
絵は写真で紹介しましたが、会場のライトの色の影響もありますし、やっぱり色とかタッチは本物が1番です!
是非、オーストラリアの自然が好き、印象派が好き、テスト疲れを癒したい、オーストラリアならではの何かを求めている、という方は、この夏、Arthur Streetonを見に行ってみて下さいね。

Art Gallery of NSW
Streeton
入場料:大人 22ドル/コンセッション 20ドル
期間:2020年11月3日〜2021年2月14日
営業時間:午前10時〜午後5時(クリスマス、ボクシング・デー以外毎日)
詳細
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今回のシドニーは企画展なので入場料がかかりますが、通常の時期、彼の絵は常設展に有ることが多いです。
各州(アデレード、メルボルン、キャンベラ、シドニー、ブリスベン)に住んでいる方は、無料で彼の絵を見るチャンスもあると思いますよ。
Streeton期間中は美術館に彼の絵がない可能性があるので、2月20日以降、各美術館にご確認の上お出かけ下さい!
Art gallery of South Australia(AGSA)
Art gallery of Victoria(AGV)
National gallery of Australia(NGA)
Queensland Art gallery(QAG)
Art gallery of Western Australia(AGWA)