でも実はこれ、単純に『留学生を受け入れなくなった』という話ではなく、コロナ禍での緊急対応の影響や、街の成長スピードにルール作りが追いつかなくなったこと、一部のビザの不正手口の問題などが複雑に絡み合った結果なのです。
ですから、オーストラリアの温かい雰囲気や多文化な魅力が消えたわけではなく、また、真剣に勉強したいと思っている日本人留学生には大きな影響はないと考えられています。
今回は、今オーストラリアの現地で一体何が起きているのか、大事なポイント5つを分かりやすく解説します!
① コロナ禍の緊急対応と、急激な人口増加への方針転換
そもそものきっかけは、コロナ禍でオーストラリア政府が行った緊急の労働力確保策まで遡ります。
当時、極端な人手不足に悩まされていたオーストラリアは、滞在中の外国人がそのまま働ける「Pandemic Event Visa(いわゆるコロナビザ)」を発行し、留学生の就労時間制限も一時的に緩和しました。この措置は当時の経済を支える大きな助けとなりましたが、経済が急速に回復する中でも特例措置がしばらく続いたことが、後の変化につながります。
「コロナ特例で滞在を延長していた人々」と、国境再開後に一気に入国した「新しい留学生やワーホリ」のタイミングが重なったことで、純移民数(人口の増え幅)が想定を大きく上回るスピードで増加しました。こうした社会の変化を受け、「移民数を急激に減らすべきだ」と主張する右派政党「ワン・ネイション」が支持を集めるようになり、政府も社会のバランスを保つため、ビザの発給ペースを抑える方向へと一気に舵を切り始めたのです。
② 街で起きている生活への影響(住宅や物価の変化)
短期間での人口急増は、現地で暮らす人々(オーストラリア人やすでに滞在している外国人)の生活環境にも直接的な影響を及ぼしました。
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住宅市場の需給ひっ迫: シドニーやメルボルンなどの主要都市を中心に、賃貸物件の需要が供給を一気に上回りました。その結果、空室率が低下して家賃水準が上昇し、住まいを見つけるハードルが高くなりました。
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生活費の上昇: 世界的なインフレ傾向に人口増加による需要増が重なり、日用品やサービスの価格が上昇。市民の間で生活費の負担感が高まりました。
こうした暮らしへの直接的な影響を受けて、社会全体で「適正な人口増加ペースとは何か」という議論が活発化しました。その過程で、複雑な経済要因がある中で「海外からの流入速度を抑えることが最も即効性のある解決策だ」とする世論が急速に強まっていったのです。
ちょっと横道にそれますが・・このような背景の中、実際の現地の様子はどうでしょうか?気になりますよね。
弊社をご利用いただいている留学生のみなさんは従来と変わらずシェアハウスなどを見つけて生活しています。しかし、家探しの時間は従来よりかかる傾向があるため、渡航直後のステイ先(ホームステイ・寮)は長めの確保が安心です。また外食は高いものの食材は日本と同等以下なので、日本にいるうちに自炊の練習をしておくと生活費をかなり節約できますが、やはり留学資金は余裕を持って準備しておきましょう。
※家賃含む生活費は都市、生活エリア、生活スタイルなどによって異なります。弊社では、現地で生活する留学生のみなさんから集めた最新の生活費情報を、留学相談の中で詳しくご案内しています。③ 学生ビザ制度における不正取得・制度悪用の問題
さらに問題を複雑にしたのが、ビザ制度の不適切利用です。
一番の根幹問題だったのは、勉強ではなく「出稼ぎ・不法就労」を目的に学生ビザが利用されていたこと(いわゆる「ビザ取り」)。学費の安い一部の学校に籍だけを置き、実際には授業に出席せずフルタイムで働き続けるような、制度の形骸化が問題視されました。
そして、その不正渡航を可能にしてしまった最大の抜け道が「英語力証明」や「財務証明」の不正でした。オンライン試験での替え玉受験や生成AIを悪用した試験クリア、さらには銀行の残高証明書や英文の志望理由書を量産する手口が横行し、本来の基準を満たしていない申請がすり抜けてしまっていたのです。
もちろんオーストラリア移民局側も黙っておらず、AIを使った文章解析やデータの裏付け照会システムを導入して対策を強化。こうした不正防止システムと悪質エージェントのイタチごっこが続いた結果、政府は英語力要件を引き上げたり、特定国からの審査基準を大幅に厳しくしたりと、制度本来の「教育の質」を取り戻すための厳格化に乗り出しました。
こうした不正対策として、2026年1月にインドやネパールなど南アジアの一部の国でアセスメントレベル(ビザ申請上の国別リスク度)が「2」から最も厳しい「3」へ引き上げられました。
その前段として、2025年第4四半期のオフショア(オーストラリア国外)からの学生ビザ承認率は、インドが80%前後から59.5%、ネパールが90%前後から67.1%へと急落しています。一方で、日本は引き続き最高の「アセスメントレベル1」を維持しており、オフショア承認率も98.8%と非常に高い水準を継続していますので、これから留学を考える方もご安心ください。
(出典:Australian Government Department of Home Affairs "Student Visa Statistics": https://www.homeaffairs.gov.au/research-and-stats/files/student-temporary-grad-program-report-dec-2025.pdf)
④ オーストラリア国内の反応と現場のリアル
このように様々な背景が絡み合って現在のニュースにつながっていますが、オーストラリアの公共放送(ABC)や大手紙(The Guardian)の報道によると、現地では「留学生や外国人だけに負担を求めるような風潮」に対して、多様性を守ろうとする温かい動きも広がっています。
例えばメルボルンなどでは、「留学生は大切なコミュニティの一員」「互いに尊重し合える社会を守ろう」と声をあげる若い世代による集会やデモが行われました。
ここで知っておいてほしいのは、こうした声をあげているのが当事者である留学生だけでなく、地元オーストラリアの高校生や大学生たちでもあるということです。幼い頃から多文化の中で育ってきた地元の若者たちは、海外からの仲間を歓迎する気持ちをとても大切にしています。
また、弊社の現地オフィスのスタッフも、日々の暮らしの中でオーストラリアの温かい雰囲気が変わっていないことを実感しています。
様々な社会問題を解決するため、政治上は反移民政策へ動いている側面はありますが、決して「オーストラリアという国全体が外国人を拒絶するようになった」わけではないので、安心してくださいね。
⑤ これから留学・ワーホリに行く人への影響は?
一番気になる「私たちの渡航に影響はあるの?」という疑問ですが、結論から言うと、「本当に勉強したい人」への大きな影響はないという見方をしています。
政府がやろうとしているのは「外国人を排除すること」ではなく、「ビザを悪用する不法滞在者を弾き、しっかり勉強する質の高い学生だけを受け入れること」だからです。
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しっかり準備する本気の留学生: 資金証明や英語力、志望理由を正しく提出すれば、ビザは問題なく下りる傾向にあります。
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ワーキングホリデー: 枠組みのルール変更(セカンド・サードの抽選制など)は一部発表されていますが、正当な手続きを踏めば渡航可能です。
少し手続きが厳しくなったり、当面は定員枠(キャップ)のため申請が混み合ったりする可能性はあります。「早めに準備を始めること」を心がけてください!
【オーストラリアビザに関する重要なお知らせ(2026年10月2日現在)】
学生ビザ:
2026年10月2日より、ワーキングホリデービザ保有者のオーストラリア国内からの申請ができなくなりました。また、学生ビザ保有者のオーストラリア国内からの申請についても条件が付与されています。この変更は、現地で学びたくなった方の気持ちが否定されたわけではなく、「手続きのステップが変わった」ということです。また、2026年9月17日の政府発表にて言及されていた学生ビザなどの家族帯同に関する制限も併せて施行されています。
詳しい解説は「【2026年10月施行】学生ビザ改正で何が変わる?ワーキングホリデービザからの切替・家族帯同・転校」をご確認ください。
ワーホリビザ:
審査の正常化(申請処理期間を3か月程度に安定させる)が進んでおり、順次承認されている状況です(2・3年目の抽選制に関する新情報はありません)。
まとめ
今のオーストラリアは、「急増した人口と街の限界」に直面し、ルールを立て直している真っ最中です。
表面的なニュースだけを見ると不安に思うかもしれませんが、現地の温かい雰囲気や多文化な魅力が消えたわけではありません。
さらに、オーストラリアの大学や教育機関では、教科書上の知識だけでなく「リアルな社会課題(Real World Problems)」の解決に取り組む授業やプロジェクトが非常に盛んです。社会がまさに変革期を迎えている今だからこそ、現地でこうしたリアルな議論や政策の動向を肌で感じることは、この過渡期にしか得られない貴重な学びのチャンスでもあります。
ルールや環境が変化している時だからこそ、正しい情報をしっかり集めて、焦らずに自分だけの留学プランを進めていきましょう!