弊社スタッフにもファンが多いオーストラリアの人気番組Masterchef Australia。料理コンペティション番組で、参加者は素人ですが、毎回出てくる料理はレストランレベルだし、プロと対決したりもします。今年度も佳境に入りいよいよ来週にはグランドフィナーレを迎えます(なので、今はエキサイティングなのと同時にちょっと寂しい。。。)。
さてこの番組、オーストラリアの2大スーパーマーケットのひとつColesが協賛しており、Pantry(パントリー)と呼ばれる食材庫にはまるでスーパーマーケットをそのまま持ってきたような食材が並んでいます。当然、毎回使われるのはその一部のみ。そこで気になるのが「使わなかった食材ってどうなるのだろう?」ということです。
実は近年、環境問題や食育など様々な面から、オーストラリアでも食品廃棄物は注目を浴びています。特にチャリティーが盛んなお国柄、福祉的観点から食品廃棄物について議論されることも多いです。そこで、この番組でもこれに関する様々な取り組みが紹介されました。
まず、番組で使われなかった食材はColesがサポーターとなっているSecond Biteという団体に寄付されるそうです。
Second Biteとは…
2005年、メルボルンのあるカップルが、大量に廃棄されるまだ食べられる食材に心を痛め、捨てる代わりに食べ物がなくお腹をすかせている人に提供できないかと始めたフードプログラムです。2011年には大手スーパーマーケットColesもサポーターとして名乗りを上げ、2017年には年間約1,100万kgもの食材で約2,200万食分を提供したそうです。現在では1,400を超えるコミュニティフードプログラムをオーストラリア全土で展開しています。
昨年度の話ですが、この取組を紹介するために、前日にこのプログラムによってメルボルンで回収された食材のみを使って料理を行うチャレンジもありました。”廃棄されるはず”の食材が、高級レストランで提供されているようなオシャレで美味しい料理(もちろん、私は味わうことはできませんが、審査員の評価を聞くと絶対美味しい!)に変身しており、食品廃棄の基準ってなんだろうと考えさせられました。他にも、今年度は「ひとつの食材をまるごと(葉っぱ茎も殻も全部)使って料理を作る」「オーストラリアで家庭で廃棄される食材ワースト5で料理を作る」など食材を無駄にしない料理を作るチャレンジもありました。後述のチャレンジではオーストラリアの家庭で購入する食材のうち約20%が廃棄されているという驚きのデータも紹介され、食品廃棄物の縮小に取り組んでいるイタリア人ミシュランシェフ、マッシモ・バトラも審査員として登場しました。
そういえば私も特に意識はしていないですが、オーストラリアに来てから野菜などは袋売りではなく、必要な量だけを量り売りで購入するようになったので、食材を捨てるということはほとんどなくなりました。袋やパッケージもないので、ゴミの削減にもなっています。
ファームで働くことで実際に作物が生産される過程に触れその苦労を知ったり、福祉関係の学問を学ぶ中で食品廃棄物への取り組みを知ったりして、オーストラリア留学をきっかけに食品廃棄物について関心を持つようになったという留学生もいます。
食品廃棄物縮小への取り組みは、移民国家である多様性、農業中心のオーガニック大国と共に、オーストラリアの新しい食文化を作っていくのではないでしょうか。なんだかちょっと素敵だなと思います。