私はオーストラリアの大学院を卒業しているのですが、先日、大学院への留学を考えている方から「英語 "で" 勉強してどんなことが大変でしたか?」と尋ねられました。
英語"で"勉強して大変だったこと
確かに英語のネイティブに比べたらたくさん辞書を引かなければならないのは大きなディスアドバンテージです。その分時間もかかるし、日本語なら…とイライラすることもあります。特にチュートリアルで議論をする際は辞書を引いていると置いていかれます。最初の頃は言いたいことはあってもなんと表現にしていいかわからない。勇気を出して発言しても「Perdon?(もう一回言って)」の繰り返し (T_T)でも、慣れてくるとよく使う単語や文法はそこそこ頭に入っていきます。また、私は早めに教室に入って教授に前回のトピックに対する自分の考えを話したり、気心の知れたグループで勉強するときに意見を言ったりすることで自信をつけていきました。もちろん、慣れてきてもわからない単語や文章があって調べたり考え込んだりすることはありましたが、ちょこっと(?)量が多いだけで、それって日本語で勉強していても同じだと思うのです。英語以上に苦労したのが文化の違い、法律系の科目、レポートの書き方、そして日本人が自分ひとりだったということです。
文化の違い
私のクラスメイトは比較的真面目な学生が多い印象でしたが、出身国によってやはり課題への取り組み方や姿勢は違います。そもそも「日本の常識、他国の非常識」で、なぜ私が怒っているのか相手は全くわかっていない(逆もしかり)ということは常にありました。グループワークなどではメンバーときちんと話をする、メンバー内で解決できそうにないことがあればすぐに教授などへ相談するなど自ら動くことが大切です。受け身はもちろん、「どうしたらいいですか?」という指示待ちも駄目です。「私はこうしたい」「これならできる」とオプションを示すことも大事です。また、法律や税金などについては、国の文化が色濃く反映されているので、オーストラリアの文化や歴史を理解をする必要がありました。
法律系の科目
私は会計学を学んだのですが、必修科目の中にはいくつか法律系の科目が含まれます。会計関連の科目であれば出てくる専門用語やよく使う単語はだいたい把握していますが、法律系の専門用語はその単語自体の意味が難解な上、法律独特の見慣れない言い回しが多く、何度も文章を読み直してはあーでもないこーでもないとクラスメイトと議論を繰り返していました。レポートの書き方
私はEAPなどの進学準備コースを経由せずに大学院に入ったため、レポートの書き方などまったく知らないままスタートしました。オーストラリアの大学はコピペなどに厳しいので、引用の書き方やパラフレーズ(文章の言い換え)の方法をきちんと理解しておかなければ減点の対象となります。私が1学期目で一番点数を落としたのは、内容云々よりこの点でした(T_T)これから留学する方には進学準備コースを受講することや大学のアカデミックサポートをしっかり受けるなどの対策を強くお薦めします。たったひとりの日本人
私は日本人と同じクラスになったことは一度もありませんでした。そもそもキャンパス内の日本人は片手で数えられるほど。これで大変だったのが「日本ではどうなの?」という質問。幸か不幸か、日本は会計学的にも特殊だし、世界中の人が日本という国に興味を持ってくれています。なので、チュートリアルでは毎回のように「日本ではどうなの?」という質問が飛んでくるし、クラスメイトも興味津々。私しか日本人はいないので他の人に質問を投げたり助けを求めたりすることはできません。その結果、通常の授業内容に加えてそのトピックス関連の日本のことについても調べたり、英語で説明できるようにしたりするなど+αの準備をしていました。学部生だと就労経験がない人も多いと思いますが、新聞に目を通したり、ニュースを見たり、留学前に日本のことについて知っておくのも大切だと思います。英語"で"理解し、英語"で"起こる問題を解決するのは簡単ではないと思います。でも、グローバルな環境の中での振る舞い方、自分の常識ではあり得ないことが起こったときの対処の仕方など会計学だけでなく多くのことを学べたし、多少のことは解決できるという自信にもなりました。もちろん、一定レベルの英語力は必要ですが、「英語"で"学ぶのって難しそう」と躊躇している人には是非チャレンジしてもらいたいと思います。