Australian Competition and Consumer Commission (日本で言う「公正取引委員会」)は、3月9日、日本の「アサヒビール」が豪州第3位の飲料メーカー「P&N」を買収する計画について反対の意向を表明しました。既にアサヒビールは、2009年に豪州第2位の飲料メーカーで日本でもお馴染みのブランド「シュエップス オーストラリア」を買収しており、更に P&N の買収が実現すれば、豪州清涼飲料市場でのシェアは30%近くに達する為、市場での価格競争を阻害しかねない、というのが理由だそうです。
こうした日本企業による豪州企業買収の動きは、アサヒビールに限った話ではありません。キリンも近年、オーストラリアの企業買収に非常に熱心です。キリンは、2007年、豪州最大の乳業メーカー「ナショナル フーズ」を傘下に収め、2008年には乳業第2位の「デアリーファーマーズ」を買収、更に2009年には、豪州第2位のビールメーカー「ライオンネイサン」を買収しています。「ライオンネイサン」と言えば、「フォーエックス」や「スワン」、「エミュー」等々、豪州では誰もが知っている有名な銘柄をいくつも所持している会社です。
アサヒビールはP&N の買収承認に向け、引き続き検討を進めていくとのことですが、飲料や食品に限らず、日本市場の拡大が見込めない昨今、成長著しいアジア太平洋地域への日本企業による投資は益々拡大していくと思われます。
写真は、豪州で販売されているキリンの「一番絞り」です。