【為替相場について】応用編①

お休みをいただいて2週間ほど米国に行っていた間に、ゴールドコーストはすっかり夏模様。初夏の訪れを告げる紫色のジャカランダがすでに満開です。

さて、前回の【為替相場について】基礎編で為替相場は需要と供給のバランスによって変化していること、皆さんにとって円安がお得なのか円高がお得なのかということをお話しました。今回は応用編。やはり、みなさんが気になるのは、「いつドル送金すれば、いつ豪ドルに換金すればお得になるのか」ということではないでしょうか。
残念ながら、それを明確にお答えすることはできません。なぜなら、様々な要因が複雑に絡み合って為替相場の需給バランスは刻々と変化しているからです。しかし、為替相場に影響を与える要因を知り、日々世界中のニュースに目を向けることで、送金や換金のタイミングが見えてくるかもしれません。

為替相場に影響を与える要因は主に「経済の基礎要因」「テクニカル要因」「投機的要因」「地政学的要因」の4つに分けられます。今回はニュースなどから知ることができる「経済の基礎要因」と「地政学的要因」について少し考えてみたいと思います。

 

経済の基礎要因

景気動向

景気のいい国の通貨→通貨高:株価や金利上昇への期待から買われる傾向にあります。

金利物価

高金利の国の通貨→通貨高:自分が保有している通貨について付加価値が大きい方がいいので、お金は基本的に低金利通貨の国から高金利通貨の国へと流れます。

国際収支

国際収支が黒字の国の通貨→通貨高:外貨で取引した場合、国際収支が黒字になっている国はその外貨を自国の通貨に変えなければなりません。つまり、その国の通貨の需要が増加します。

為替介入

金融当局(各国の財務省や中央銀行)は為替レートの急激な変動を抑制するため、または過度な通貨高、通貨安を是正するために為替介入を行うことがあります。最近では数カ国が協調してこれを行うこともあります。

これらについてのデータや政策が発表された時、もしくはこれらについて大きな変化があると予想される時、為替相場は大きく動くことが多いです。

 

地政学的要因

戦争やテロによる政情不安、自然災害などが起こると、投資活動や消費が停滞することが予想されるため、その国の通貨は売られる傾向にあります(通貨安)。しかし、9.11同時多発テロの時にはアメリカ人投資家が愛国心からドルを売ることを控えたり、東日本大震災の時には復興や保険金支払のために日本円の需要が増加することが見込まれたため逆に日本円の需要が増加した(円高になった)といったこともありました。

 

簡単にまとめてみましたが、なんとなくイメージはつきましたでしょうか。次回は各要因について日本とオーストラリアの現在の状況を見てみたいと思います。

 


Jacaranda @Gold Coast (残念ながら帰国した日は曇りでしたが、それでもこんなに色鮮やか!)

天ヶ瀬 有美 / Yumi Amagase

会計業務などを担当しています。

日本の大学で経済学部を卒業後、金融関係の会社での勤務を経て、2012年にワーキングホリデーで渡豪。「1年しかないなら、やりたいことは全部やる!」を目標に、大自然の中でのローカルの仕事などを経験。翌年、就職活動で英語力を証明するためのIELTSを学びに語学学校へ入学し、卒業時にIELTS6.5を取得。もっと学びたいと、サザンクロス大学会計学修士課程(Master of Professional Accounting)へ進学。2015年11月に同大学を卒業し、現職。

趣味は旅行、散歩、カフェ巡り。これまでに20カ国を訪問。オーストラリアでもたくさんの都市に出かけました。オーストラリアで出会ったコーヒーも大好きです。